SL銀河の旅を満喫 住田など沿線住民招待 本格運行前に乗車イベント JR盛岡支社 (別写真あり)
令和5年3月22日付 7面

JR東日本盛岡支社は21日、釜石線(釜石―花巻駅間)を運行する「SL銀河」の運行開始を前に、同線沿線の小学生がいる家族を招待する乗車イベントを行った。SL銀河は今年6月で運行を終えることとなっており、沿線住民にこれまでの感謝を示そうと招待を企画。気仙で唯一の停車駅がある住田町からも参加があり、多くの親子連れがSLの旅を楽しんだ。(清水辰彦)
SL銀河は、宮沢賢治作品『銀河鉄道の夜』をモチーフに改修した機関車と、4両編成の旅客車で構成。観光面からの復興支援と地域活性化の一助にと、平成26年4月にデビュー。気仙では住田町の上有住駅に停車しており、毎年、見物客も多く訪れている。
運行開始以来、主に春から初冬にかけて土日を中心に花巻駅─釜石駅間を運行。運行開始から令和4年12月までにおよそ7万人が乗車しており、全国の鉄道ファンたちに愛されている。
これまで定期検査しながら運行してきたが、40年余り前の車両をベースとする旅客車は部品調達が困難となっていることから、定期運行は今月25日(土)の開始後、6月3(土)、4(日)の両日で終了。同10日(土)、11日(日)の団体臨時列車(旅行商品専用)が最終運行となる。旅客車は廃車が予定され、機関車は当面の間は盛岡市内の検収庫に置かれ、今後の活用を検討するとしている。
招待は、同支社による「SL銀河ラストシーズンプロジェクト」の一環。駅での歓迎などで盛り上げを後押ししている釜石線沿線の住民に感謝を示そうと企画し、沿線の住田町、花巻市、遠野市、釜石市、大槌町在住で小学生がいる家族を対象に実施。3市2町から合わせて約220人が招待され、釜石駅発の列車には住田町の9組35人をはじめ釜石市、大槌町から合わせて約110人が乗車した。
親子連れを乗せたSL銀河は釜石駅を出発後、気仙唯一の停車駅である上有住駅を通過し、遠野駅まで運行。車両には「銀河鉄道の夜」に登場する星座や動物などが描かれているほか、内部にも宮沢賢治を紹介するパネルなどが設置されており、乗客も列車に揺られながら賢治の世界観に浸り、短い旅を満喫した。
同級生や家族らと乗車した住田町世田米の佐々木文月さん(世田米小3年)は「SLの車両に描いてある絵が好き。すごい楽しみ」と、家族4人で参加した菅野直和君(同2年)は「かっこいいし、汽笛の音も好き」と声を弾ませ列車に乗り込んでいった。
出発前には釜石駅ホームで車両展示会も開催。県内外から多くのファンが詰めかけ、車掌制服を着用しての記念撮影、車内見学などが行われにぎわった。
運行初日の25日、上有住駅では「五葉山火縄銃鉄砲隊」や町のPRキャラクター「すみっこ」が歓迎する。同駅到着は午後2時15分、出発は同2時20分の予定。
SL銀河は全車指定席で、乗車券のほかに指定席券が必要。購入は「えきねっと」や主な駅の券売機、みどりの窓口などで。