佐々木朗希投手 WBC準決勝で先発 メキシコと激戦、4回力投 PVで気仙両市民ら応援(別写真あり)

▲ 先発登板で躍動する姿を見守る地域住民ら=大船渡市

打球直撃にもひるまずの熱投に沸く会場=陸前高田市

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は21日、準決勝の日本対メキシコ戦が米国ローンデポ・パークで行われた。日本の先発はプロ野球・千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手(21)=陸前高田市出身、大船渡高出=で、11日のチェコ戦に続く2度目の登板を受け、古里の気仙両市ではパブリックビューイング(PV)を実施。佐々木投手が4回を投げて3失点を喫すなど、日本は前半から苦しい展開を強いられたが、最終回に劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めて決勝に進出。PV会場では、応援に駆けつけた市民らが、最後まで諦めずに戦う佐々木投手ら侍ジャパンに大きな声援を送った。(佐藤壮、阿部仁志)

 

日本は決勝進出


 WBCは今月8日に開幕。メジャーリーガーの大谷翔平選手やダルビッシュ有投手らを擁する日本は、1次リーグB組で中国、韓国、チェコ、オーストラリアと対戦し全勝。準々決勝ではイタリアとの戦いを制し、5大会連続の準決勝進出を決めた。
 決勝進出をかけた大一番で登板する「令和の怪物」を古里から応援しようと、大船渡市の「大船渡アスリート応援団」と陸前高田市の「佐々木朗希選手を応援する会」によるPVが、11日に続いて行われた。
 大船渡市では、盛町のサン・リア1階いこいの広場に大型スクリーンを用意。同広場での野球応援は、佐々木投手が所属していた大船渡高が挑んだ令和元年7月の第101回全国高校野球選手権岩手大会決勝以来で、開店時間前の実施は初めてとなったという。
 開場直後から続々と市民らが訪れ、手渡されたスティックバルーンだけでなく、持参したペッパーミルや手作りの応援グッズを掲げる姿も。プレーボール前には、約70人が詰めかけた。
 盛岡市から訪れた会社員・石井等さん(52)は「チェコ戦は陸前高田で応援した。こういう試合は、みんなでわいわいしながら声援を送った方がいい。長年のロッテファンとしても、朗希投手は特別な存在」と話し、スクリーンに熱視線を送った。
 負けられない一戦とあって、チェコ戦時よりも緊張感に包まれた中での観戦。佐々木投手が初回、先頭打者から三振を奪うと、拍手やスティックバルーンを打ち鳴らす音が響いたほか三振を表す「K」のボードが躍った。
 一方、陸前高田市のPVは高田町のアバッセたかたパブリックスペースで行われ、試合開始時には約70人が観戦。千葉ロッテ、侍ジャパンのユニホームを着た野球ファンや地元球児の姿も見られ、スティックバルーンを振って〝おらほのエース〟に声援を送った。
 佐々木投手が160㌔以上の速球やキレのあるフォークボールで三振を奪うたびに歓声が上がった。二回、腹部に打球が直撃したあとも佐々木投手はひるまず投げ、一死1、2塁のピンチを併殺打で脱した場面には会場も大いに沸いた。
 0─0で迎えた四回は、先頭打者を空振り三振、2番打者を左飛に打ち取り2死とするも、その後に連続安打で走者を出し、左中間への3点本塁打を浴び先制を許した。最後の打者をゴロに抑え、佐々木投手はこの回でマウンドを降りた。4回64球、3奪三振、被安打5、3失点の成績。同日の最速は163㌔だった。
 高田野球スポ少前主将の菅野樹良君(高田小6年)は「(二回の)ピンチのあとダブルプレーになったときは、落ち着いて投げていてかっこよかった。高田の誇り。これからも頑張ってほしい」と目を輝かせた。
 高田町の臼井照江さん(48)は、息子の真弘君(6)、娘の琴海ちゃん(3)と一緒に観戦。「子どもたちにとっても、夢へと向かうパワーをもらえると思う。WBCに出場するレベルまで成長した佐々木投手には、今後も息長く活躍してほしい」と期待していた。
 日本は、0─3の七回に3得点で同点に追いつき、八回に2点勝ち越されるも直後に1点を返して4─5と粘った。最終回は、無死一、二塁の場面で5番・村上宗隆選手の逆転サヨナラ打で勝利を収め、3大会ぶりの決勝進出を決めた。
 決勝戦の相手は前回優勝のアメリカ。試合は日本時間の22日午前8時から。日本の決勝進出を受け、「大船渡アスリート応援団」と「佐々木朗希選手を応援する会」は、同会場でPVを実施する。
 サン・リアは上限80人、アバッセたかたは同70人とし、午前7時30分に開場する。入場無料。