市民文化会館も指定管理へ 6年度から 運営財源に利用料金制も

▲ 開館から14年が経過したリアスホール。来春からの指定管理者制度導入を目指す

 大船渡市は、来年4月から、市民文化会館リアスホールへの指定管理者制度導入を目指している。運営や管理、窓口サービスといった業務に加え、文化芸術の普及・振興も対象に含む。管理業務に関する委託費に加え、施設使用料が指定管理者の収入となる利用料金制も導入し、民間手法を生かした利用増や効率化を図る。基本方針決定を経て、7~8月の候補者募集を見据える。(佐藤 壮)

 

 リアスホールは合併建設計画に基づき、総事業費約50億円を投じて平成20年11月に完成。合併前の大船渡市は、公立の文化会館施設を持たず、長年にわたり整備要望が出ていた。
 大ホールの最大客席は1100席で、マルチスペースやアトリエ、会議室、練習室、スタジオも備える。併設している市立図書館は本年度、指定管理者による運営が始まった。
 開館から14年が経過し、近年は大規模な設備更新事業が続くなど転換期を迎える。市民文化会館運営審議会での意見を踏まえ、円滑な施設運営に取り組む半面、多分野で課題を抱える。
 利用者数は、平成25年度の約12万人がピーク。当時は、市内外の類似施設が東日本大震災で被災して使えない背景もあった。
 復旧・復興が進む中で催事などの分散化が進み、平成30年度と令和元年度は約8万人で推移。新型コロナウイルスの影響を受けた2年度は1万9703人、3年度は2万6448人。4年度は1月末現在で3万5026人となっている。
 施設運営費(図書館分の光熱水費や設備管理委託料など含む)を見ると、平成30年度は1億6373万円で、令和元年度は1億4747万円、2年度は1億4557万円、3年度は1億3657万円、4年度は1億4934万円。改修・修繕の頻度が増すとともに、物品費や燃料費、光熱水費などの諸経費が増加傾向にある。
 また、震災支援を目的とした催事や大手プロモーターの仲介による著名人コンサートの申し入れが年々減少。主催事業でも招致環境が難しく、集客力が低下し、企画運営力の向上が求められている。
 こうした中、市は民間のノウハウ活用によるサービス向上に加え、人件費抑制など施設運営費から5%程度の軽減を期待し、指定管理者制度の導入を目指す。文化施設では沿岸最大規模を誇る中、高度な専門性やノウハウを持つ事業者による多彩な催事の企画・開催、類似施設との連携といった事業展開も見据える。
 指定管理の業務内容では、運営統括や図書館を含む施設・設備の点検保守、経理、広報、受付、貸出予約、自主事業実行委員会などの関係団体支援業務を担う見通し。さらに、文化芸術の普及・振興に向けて▽鑑賞事業▽市民参加型事業・普及育成▽市民芸術祭の開催(主催実行委への参画)──も計画している。
 指定期間は6~8年度の3年間。市は管理に関する委託費を出す一方、利用料金制を導入し、使用料が指定管理者の運営財源の一部となる。利用料金は条例の範囲内で指定管理者が設定できる。
 現在、営業利用がないレストラン部分は、再開か、スペースを利活用する提案を求める。舞台技術経験者の配置も条件とする。
 県内の市における主な文化施設の運営状況を見ると、市直営は花巻市、久慈市、大船渡市のみ。町村では矢巾町が指定管理者制度を導入し、平泉町も複合施設新設に合わせて昨年から始めた。
 委託先に関して、市は「他市では、文化振興事業団やNPO法人を立ち上げて管理・運営をしているところが大多数。一般の会社が受託している例もある。広く一般公募をしていきたい」とする。条件をクリアするために集まったグループ事業体も可としている。
 指定管理者制度導入に向け、4月までに基本方針を決定したい考え。募集要項・仕様書の作成を経て、関連条例の規則改正は6月を見込む。指定管理者候補者の募集は7~8月で、翌年3月の市議会関連議案・予算議決後、4月1日の運営開始を見込む。