SL銀河 10年目の勇姿 ラストシーズンの運行開始 住田・上有住駅でも歓迎
令和5年3月26日付 8面

JR東日本は25日、釜石線(花巻―釜石間)で「SL銀河」の運行を開始した。SL銀河は10年目となる今年で運行終了が決まっており、ラストシーズンの勇姿を見届けようと、初日は沿線各地に多くの鉄道ファンが姿を見せて活気づいた。気仙で唯一釜石線の鉄路が通る住田町の上有住駅にも停車。町内外から見物客らが訪れて列車や乗客を歓迎した。(清水辰彦)
SL銀河は、宮沢賢治作品『銀河鉄道の夜』をモチーフに改修した機関車と、4両編成の旅客車で構成。観光面からの復興支援と地域活性化の一助にと、平成26年4月にデビュー。気仙では住田町の上有住駅に停車しており、毎年、見物客も多く訪れている。
運行開始以来、主に春から初冬にかけて土日を中心に花巻駅─釜石駅間を運行。運行開始から令和4年12月までに約480本を運行、およそ7万人が乗車しており、全国の鉄道ファンたちに愛されている。
これまで定期検査しながら運行してきたが、40年余り前の車両をベースとする旅客車は部品調達が困難となっていることから廃車を決定。機関車は当面の間、盛岡の検収庫に置かれ、今後の活用を検討するとしている。
10年目の運行がスタートしたこの日、花巻駅発、釜石駅着の下り線には約180人が乗車。上有住駅では町職員や五葉山火縄銃鉄砲隊、町のPRキャラクター・すみっこが出迎えに並び、乗客との記念撮影にも応じた。
ホームに加え、近くにあるトンネルや踏切の付近にも見物客が駆けつけ、運行開始を祝福。山あいに力強い汽笛の音が響き、鉄道ファンたちが勇姿を間近で眺めた。
鉄砲隊の一員として甲冑をまとって列車や乗客を出迎えた高萩実雨さん(有住小2年)は「緊張したけど楽しかったし、たくさん写真を撮ってもらえてうれしい。SLはかっこよかった」と声を弾ませた。
今シーズンの定期運行は上下線合わせて24本を予定しており、6月3(土)、4(日)の両日で終了。同10日(土)、11日(日)の団体臨時列車(旅行商品専用)が最終運行となる。
SL銀河は全車指定席で、乗車券のほかに指定席券が必要。購入は「えきねっと」や主な駅の券売機、みどりの窓口などで。指定席は大人840円、子ども420円。
JR盛岡支社では、撮影する際のマナー順守も呼びかけている。