ありがとう観光センター 三陸鉄道の綾里、三陸駅に併設 観光物産協の業務終了 感謝込めてセレモニー

▲ 子どもたちによる花束贈呈が行われた三陸町観光センターの業務終了式

 大船渡市観光物産協会(齊藤俊明会長)は3月31日、三陸鉄道・綾里駅に併設する綾里物産観光センターと、越喜来の同・三陸駅沿いにある三陸町観光センターでの業務を終了した。30年以上にわたり観光客や地域住民の交流を支えたが、施設利用者の減少を受けて長年不採算が続き、区切りとした。三陸町観光センターは、民間有志が組織を立ち上げ、利用を目指す動きも出ている。(佐藤 壮)

 

綾里物産観光センターも閉鎖に

 両センターではそれぞれ、業務終了式を開催。このうち、三陸町観光センターでは市や三陸鉄道㈱の関係者ら約20人が出席。齊藤会長は「市や三陸鉄道、地域の皆さんに加え、いつも明るく接してくれた職員に感謝したい」と述べた。
 祝辞では渕上清市長のメッセージが代読され、三陸鉄道の石川義晃社長が「コロナの影響収束によって、住民利用や観光客が戻ってくれれば」とあいさつ。越喜来地区公民館の鈴木健悦館長は「玄関口として、職員がいつも明るく声がけしてくれた」と語った。
 石川社長は、センター業務にあたってきた越喜来の平田睦子さん(67)、及川孝子さん(60)、葈澤豪さん(57)に記念品を贈呈。おきらい放課後児童クラブの利用児童からも、花束が手渡された。最後に齊藤会長が施錠し、管理者である市職員に返還した。
 三陸町観光センターは当時の三陸町観光協会により昭和60年から、綾里物産センターは同63年から綾里地区直売所運営協会が主体となって乗車券・売店販売を始めた。平成16年に三陸町観光協会は大船渡市観光物産協会に編入合併。同21年から、綾里物産センターも同協会が指定管理者となった。
 観光センター管理運営事業は、市や三陸鉄道㈱からの受託事業の一環。観光案内や情報発信、物産振興などの拠点としての機能を維持し、三陸鉄道利用促進のため乗車券販売などを行ってきた。
 売店スペースには食品や生活雑貨、鉄道グッズなどが並び、談笑できるいすなども用意。三陸町観光センターでは一般業務が終了した先月下旬も、職員が自主的にコーヒーなどを振るまい、交流を生み出した。
 近年、施設利用者の減少傾向に伴って売り上げが低調となり、不採算状態が続いていた。
 綾里、三陸駅からの乗客は、他の無人駅と同様、車内での乗車券購入などで対応。施設は当面閉所となるが、三陸町観光センターは観光・交流拠点の利用を見据え、活用を探る動きが出ている。