今季イサダ漁が終了 数量、金額は前年超え 需給合わず伸び悩みも(別写真あり)
令和5年4月5日付 1面

大船渡市魚市場での水揚げをはじめとした県沿岸の今季イサダ漁は、3日で終了した。大船渡の実績は県全体のほぼ半数を占め、数量、金額とも昨季を上回ったが、需要と供給のバランスが合わずに単価は伸び悩み、1日当たりの漁獲数制限が強まった中で幕を閉じた。(佐藤 壮)
イサダはツノナシオキアミの別称で、主に養殖や遊漁の餌として流通。例年2月下旬から3月上旬に解禁され、水揚げのカゴは桜色であふれ、春の魚市場を色鮮やかに彩り活気をもたらす。
養殖用の餌や、レジャー向けとしての需要に加え、県内では近年、健康成分を生かした付加価値向上に向けた取り組みも進む。
同魚市場の今季初水揚げは2月22日で、16隻が接岸。30㌔入りカゴ計1401個で、42㌧の実績だった。入札では、1㌔当たり85~76円の取引となった。
その後は100㌧を超えるまとまった数量の水揚げが続いた一方、宮城県を含め各港でも順調に伸びる中、価格は下落。先月上旬から1隻当たりの上限数はカゴ300個から275個となり、さらに同下旬から250個とし、漁業者にとっては漁模様の割に金額が伸びない状況が続いた。
先月下旬は、大船渡で最高値が1㌔40円台前半となる日も。水揚げ最終日の今月3日は112㌧の水揚げがあり、同68~63円で取引された。
県水産技術センターの水産情報配信システムによると、県全体の実績は数量が6458㌧で、金額は3億7510万円。昨季との比較では数量が26%、金額は8%それぞれ伸びた。
このうち、大船渡は数量が3153㌧、金額は1億8405万円で、いずれも約半数を占めた。昨年比では数量は約30%上回ったが、金額は4%増にとどまった。
資源量減少などを受け、令和3年は1㌔単価が200円台とかつてない高値で推移。昨季は70円台となり、今季は50円台となった。
中長期的な資源確保を見据え、今季も岩手、宮城両県の漁獲枠は各9000㌧に設定。漁船漁業者が中心となって協議した結果、一昨年比で各1万5000㌧から4割に上る大幅減で合意した。
今季操業した第二十一志和丸の船頭で、県沿岸漁船漁業組合の志田惠洋組合長理事=大船渡市赤崎町=は「近年にないくらい、今季はイサダの群れが濃く、網が持っていかれるほど多かった時もあった。岩手で8000㌧を超えるいきおいはあったと思う。受け入れの関係もあり、価格が伸びず、上限を段階的に下げることになったのは残念」と振り返る。