各地区で練習本格化 世田米の式年大祭 本番まで1カ月切る

▲ 高校生も参加して練習が行われている

 住田町世田米に鎮座する天照御祖神社(瀧本正德宮司)の式年大祭は、5月4日(木・祝)に行われる。本番まで1カ月を切った中、各地域では練習が本格化してきている。下在大名行列芸能保存会(村上勤会長)では8日に練習を開始。住民たちが本番に向けて、夜間練習に励んでいる。
 式年大祭は総代や世話役、各公民館、祭組などで構成する祭典委員会が主催。村社となった明治8年に始まり、旧暦の時代は3月16日、新暦になってからは4月16日となった。
 近年は、「子どもたちに小学校で2回、中学校と高校で各1回の祭り体験をさせたい」との思いから、3年に1度、5月の大型連休に合わせて行ってきた。昨年は新型コロナウイルスの影響で延期したため、4年ぶりの開催となる。
 祭の呼び物でもある「下在大名行列」は、明治初期に下在地域の住民が旧室根村(現一関市)の室根神社に奉納されていた大名行列を習い覚え、その後は京都の本願寺の行列を取り入れつつ、独自のアレンジを加えて現在の形に至ったとされる。
 住田町史によると、かつて気仙川沿いの村で伝染病が流行した際、下在地区の人々は村社に病魔退散を祈願し、同地区では一人も病人が出なかったことから、祈願成就の御礼として祭典に大名行列を奉納することとなったともされており、祭典では神輿渡御の先頭を務め供奉することが習わしとなっている。
 かつて行列の参加者は地域の若者で占められていたが、少子高齢化が進んで人口が減少していることから、現在では住民が一丸となって伝承に取り組んでいる。
 こうした中、今回は新戦力として大和田大和さん(大船渡高校3年)、大和田海雅さん(高田高校同)も参加し、初日からベテランたちに足の運び方など基礎動作を習った。
保存会では本番までに計5回の練習を予定。大名行列初参加の海雅さんは「若い世代として、貢献できれば」と意気込む。
 村上会長(69)は「人口が減って後継者がいなくなってきているが、高校生が参加してくれてうれしく思う。長く継承していければ」と、若き担い手たちへの期待を込める。