大型のイノシシ1頭捕獲 三陸町吉浜の大窪山で 被害増加傾向、早めの対策を

▲ 5日に大窪山で捕獲されたオスのイノシシと千葉さん

 大船渡市鳥獣被害対策実施隊員の千葉信夫さん(75)=三陸町吉浜=がこのほど、吉浜の大窪山でオスのイノシシ1頭を捕獲した。千葉さんは昨年にも同地内でイノシシを捕獲しており、三陸町での捕獲例は今回が2例目という。市内ではイノシシによるものと思われる物的被害が増加していることから、「人が気づかないところで確実に繁殖している。早めに対策を講ずる必要がある」と警戒する。
 千葉さんは今月5日早朝、シカの駆除のため大窪山の牧場跡地を訪れた際、ナラ林でドングリを探すイノシシに遭遇。シカと同様に駆除の許可を得ていたため、ライフル銃で駆除、捕獲した。
 体長は推定1㍍40㌢で、体重は百数十㌔の大型のオス。千葉さんは「今年は降雪が少なかったため、エサとなる木の実が補食しやすかったのか、痩せてはいなかった」と分析する。
 市農林課によると、イノシシの捕獲頭数は令和2年がゼロ、3、4年が各2頭。被害件数は、2年がゼロだったが、3年は1件、4年は4件と増加傾向にあるといい、日頃市町内の農地における被害、目撃がほとんどだった。
 千葉さんは「大窪山は、春に山菜採り、秋にはクリ拾い、キノコ採りなどで多くの市民が入山するほか、『もりの学び舎』や自然林の遊歩道もあり、利用者も多い。イノシシは繁殖力が強く、私たちの気づかないところで確実に増えており、今後間違いなく人里に下りてくる。人を襲う個体もあると聞き、注意と対策が必要だ」と警鐘を鳴らす。
 市では、シカやイノシシの被害防止に有効とされる電気柵の設置への補助金(条件付き)を設けており、イノシシ対策への活用を呼びかけている。(菅野弘大)