2年連続の3000TEU台 大船渡港4年度コンテナ実績 苦境下も輸入は過去最高 新規の輸出・移出開拓課題
令和5年4月12日付 1面

令和4年度における大船渡港コンテナ貨物取扱量(実入り)は、前年度比6%減の3128TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個)となった。2年連続で3000TEU台に乗せ、輸入が過去最高となったものの、輸出や国内移出の新規開拓が求められる課題も浮き彫りに。市などは、他港に比べてトラック待機時間が少ないなど実情に即した優位性をアピールし、引き続き利用増に向けた取り組みを進める。(佐藤 壮)

野々田埠頭でのコンテナ貨物荷役作業
市によると、令和4年度の輸入は1829TEUで前年度から35%増加し、過去最多だった。輸出は985TEUと前年度の70%で、4年ぶりに1000TEUを割り込んだ。
輸入は、静岡県浜松市の荷主によるフィリピンからの建築部材が前年から45%伸び、おおむね半数を占めた。同市と大船渡市は東日本大震災を機に官民とも交流が広がっており、こうした要素も背景に輸出も含めて量が伸びている。
輸出はコロナ禍で物流が不安定な状況を受け、苦戦を強いられた。アメリカ向けの荷が減った中、オランダや中国向けの紙パルプ、フィリピン向けの輸送容器、マレーシア向けのプラスチック製品などが続いた。
開設3年目となる内航コンテナ静脈物流航路は、移入分が312TEUで、前年度の約6割にとどまった。首都圏で出た廃プラスチックなどを太平洋セメント㈱大船渡工場に搬送する流れが定着した半面、全国的に資源化が進み、確保が難しくなっているという。
県内企業などからの移出は昨年度も、わずかに終わった。この航路は、清水港と市原港で東西航路を接続し、北海道から九州まで輸送可能となっており、今後に期待が集まる。
大船渡港では平成19年度、釜山港との国際貿易コンテナ定期航路が開設。23年の震災で休止となり、25年9月から外貿船が多数寄港する関東主要港を結ぶ国際フィーダーコンテナ定期航路の運航が始まった。
現在は、オーシャンネットワークエクスプレス㈱が鈴与海運㈱と提携して運航。内航航路は「京浜港─仙台塩釜港─大船渡港─京浜港」で、大船渡港には原則として毎週日曜日に寄港し、京浜港で外航船に積み替え、各国に運ばれる。
コンテナ輸送に必要なハーバークレーンやリーチスタッカーの管理運営などを担う大船渡国際港湾ターミナル協同組合の細川廣行理事長は「岩手から各地に出す静脈物流の活性化や、中国をはじめとしたアジア向けの輸出増に向け、積極的に動きたい」と話す。
市は利用奨励補助を一部見直し、小口や中口の荷主向け支援を充実させた。定期航路を利用して行う輸出入・移出入のうち、利用料金を運航会社に直接支払う個人・法人に対して、コンテナ1本当たり2万円を助成。年間最大50本、最大100万円を補助する。
大口荷主利用拡大補助金では、年度内の51~100本分利用に対して、100万円を助成。101本目以降も50本を1口とし、最大4口・400万円を補助する。トラックの待機時間が少なくスムーズに荷物を積み降ろしできる大船渡港の利点を強調し、物流経費削減やモーダルシフト、二酸化炭素削減に取り組む企業を支援する。
年度別の実績は別掲。