生活の足確保へ利用して 市事業「ふるさとタクシー助成」 高齢者や障害者対象 年間最大3・6万円交付

 陸前高田市は本年度も、運転免許を持っていない高齢者や障害者に最大3万6000円分のタクシー助成券を交付する「ふるさとタクシー助成事業」を実施する。利用できる高齢者の対象地域を市内全域に拡大した昨年度の仕組みを継続する。生活の足確保に困っている対象者に対し、利用を呼びかけている。(高橋 信)

 

 昨年度からの利用者に対しては、今月から5月にかけて1年間分のタクシー助成券を順次郵送する予定。本年度で75歳になる対象見込み者には制度の利用を案内しており、今後、申請を受け付ける。
 高齢者への助成券は市中心部からの距離に応じ、▽年間最大3万6000円分▽同2万4000円分▽同1万2000円分▽同6000円分──の4段階を設けて交付。いずれも申請のあった月から来年3月までの月数分をまとめて交付する。
 一方、重度障害者は身体障害者手帳(1級、2級)、療育手帳(A)、精神障害者保健福祉手帳(1級)を対象とし、これまで通り市内であれば居住地を問わず利用できる。助成は年間最大3万6000円分。
 令和4年度は対象地域拡大に伴い、利用者数が増えた。市によると、年間の延べ利用者(暫定値)は5304人、利用額は1715万9500円だった。高齢者の交付対象地域を市中心部から離れて暮らす一部地域に限定した3年度と比べ、人数で2・1倍、金額で1・4倍となった。
 4年度の延べ利用者のうち、高齢者を町別に見ると、広田町の1318人が最多で、以下、高田町824人、米崎町631人、小友町565人などと続く。障害者は延べ608人だった。
 事業は、重度障害者を対象とする福祉タクシー助成事業を引き継ぎ、平成29年7月に開始。運転免許を持たず、公共交通の運行頻度が少ない地域の高齢者を対象に追加し、助成券の交付枚数も増やした。その後も乗車1回当たりの利用枚数制限を撤廃するなど、毎年制度の改善を重ねてきた。
 利用の対象は、▽運転免許を持っていない、または返納した75歳以上の高齢者▽重度障害者──。これまで高齢者は矢作町生出、二又、雪沢地区、横田町全域、広田町全域の居住者に限定していたが、昨年度、市全域に広げた。
 市福祉課の佐々木学課長は「高齢化、人口減などを背景に交通の課題は市全体の大きな問題。対象地域を拡大したことで利用者からも好評の声をいただいており、引き続き積極的な利用を呼びかけて交通分野の課題解消の一助としたい」と話す。
 これまでの年度別利用実績(令和4年度は暫定値)は別掲の通り。問い合わせは、同課福祉係(℡54・2111内線212~214)まで。