〝人材交流拠点〟が落成  仕事と学び複合施設(イコウェルすみた) 仮設跡地活用して整備 オープンは5月半ば見込む(別写真あり)

▲ 落成を祝ってテープカットが行われた

 住田町が世田米の応急仮設住宅本町団地跡地で整備を進めていた「仕事と学び複合施設」(愛称・イコウェルすみた)の落成式典が18日、現地で開かれた。仮設跡地にサテライトオフィス、オンラインを活用したイベントや各種講座等が開催できるコワーキングスペースなどを配置した施設で、本格オープンは5月半ばを予定。町内外の人材が集う〝住田ならでは〟の人材交流拠点としての活用に期待がかかる。(清水辰彦)

 

 落成式典には、神田謙一町長や設計、建設業者、関係者ら合わせて約20人が出席。
 神田町長は、施設整備に至る経緯などに触れつつ、「この施設が多くの方に利用され、町の活力、関係人口、移住・定住、そして地域活性という大きな役割を果たせることに期待したい」と式辞。経過報告に続いて瀧本正德町議会議長が祝辞を述べたあと、関係者が施設落成を祝ってテープカットを行った。
 式典後は内覧会が開かれ、出席者が敷地内に整備された各施設を見学しながら、有効活用による地域の活性化へと期待を込めた。
 東日本震災後を受けて建設された本町団地の仮設住宅には最大で17世帯が入居し、令和2年4月で全員が退去。これを受けて町は、同11月に同団地の跡地利活用方針を策定し、「跡地と仮設住宅を再利用して震災の記憶や記録を継承し、リモートワークやテレワークといった新たな働き方の受け皿となる施設を整備する」として事業に取り組んできた。
 同団地の仮設住宅は昨年夏に解体が完了。跡地に整備されたのは管理棟(29・81平方㍍)、共用棟(64・59平方㍍)、展示棟(29・81平方㍍)が各1棟。オフィス棟、滞在体験棟が各2棟で、オフィス棟はいずれも29・81平方㍍、滞在体験棟は29・81平方㍍と39・74平方㍍。解体した仮設住宅の部材も一部に活用した。
 総事業費は約1億円。町は、3月28日に亡くなった音楽家・坂本龍一さんが代表を務めていた一般社団法人モア・トゥリーズ(東京都)が、震災後に仮設住宅の建設支援として贈った寄付金を東日本大震災復興基金として積み立てており、これに㈱佐賀組(大船渡市)などからの企業版ふるさと納税による寄付金を加えて財源とした。
 共用棟はワーキングスペースとして、パソコンを使用しての仕事が可能で、オンラインで遠方とつないでの講座も開催予定。オフィス棟は町外在住者が仕事場として一時利用できるほか、町民も会議や勉強、仕事で活用できる。
 滞在体験棟は、住田を知ってもらうための〝お試し滞在〟に向けて整備。展示棟は、住田型仮設住宅を再現し、内部に震災時の後方支援などといった記録を展示し、後世に伝えていく。
 利用者、滞在者が町内で買い物、宿泊することによる経済効果、利用者らと町内事業者が連携することによる新たな事業の創出、空き家や空き店舗などへのオフィス設置と移住、町外と町内の人材の交流による起業や雇用創出など、町の活性化につながるさまざまな効果が期待されている。
 式典に出席したモア・トゥリーズの水谷伸吉事務局長(45)は「木造仮設として一定の役割は終えたが、交流の場として残り続けるのは意義深い」と、施設を眺めていた。
 森林保全活動を展開するモア・トゥリーズでは、町が独自に木造仮設住宅の整備を進める中、団体として寄付を呼びかけながら建設を後押し。現在も同町の町有林造成事業などを継続的に支援している。坂本さんも震災後、気仙に複数回足を運び、木造仮設の住民と触れ合い、陸前高田市では被災者を招いたピアノコンサートも開催した。
 水谷事務局長は、坂本さんの被災地での足跡を振り返りながら「そうした歴史、経緯も知っていただけるよう、発信していきたい」と、震災で生まれた住田との縁をより深いものにしていくことへの意欲をみせた。