トライアスロンで日本一に 大船渡市末崎町出身の寺澤選手 宮古島大会で初出場・初V 「世界で活躍する選手に」
令和5年4月22日付 7面

大船渡市末崎町出身のプロトライアスリート・寺澤光介選手(29)=サニーフィッシュ所属、東京都=がこのほど、沖縄県の宮古島で開かれた「第37回全日本トライアスロン宮古島大会」で初優勝した。国内トライアスロンのロングディスタンス(長距離)の最高峰とも言われる同大会で、初出場ながら頂点に立った寺澤選手。5月には初の世界選手権も控えており、「世界で活躍できる選手に」と志高くトレーニングに励む。(菅野弘大)

宮古島大会で初出場、初優勝を果たした寺澤選手
トライアスロンは、スイム(水泳)、バイク(自転車)、ラン(長距離走)の合計タイムを競う耐久競技。
新型コロナウイルスの影響で4年ぶりの開催となった同大会には、男女計1107人が出場。スイム3㌔、バイク123㌔、ラン30㌔で頂点を争った。
寺澤選手は得意のスイムで強さを見せると、タイム1位でバイクパートへ。自分のペースを守りながら、2番手で先頭のロンドン五輪日本代表・細田雄一選手を追走し、細田選手がアクシデントで一時離脱する間にトップに立ち、独走状態に入った。
最後のランでは、「ペースが少し速く、それが終盤に響いた」と、脚に軽いけいれんを起こしながらも、スイムとバイクで奪ったリードを保ちフィニッシュ。初出場で初優勝という快挙を成し遂げ、「ランに入ってタイムを確認し、『このまま優勝できるな』とも思ったが、気を抜くことなく最後まで走り切れた。バイクでの攻めがランに響いたものの、勝てて良かったし、何よりロング大会の感覚をつかめたことが収穫」と振り返る。
末崎小、中学校、大船渡高校と大船渡市のメイワエアロビスククラブで水泳を続け、中学3年でトライアスロンと出合った。高校2年で東日本大震災に遭い、自宅が全壊する被害を受けたが、高校最後の1年間は盛岡南高で水泳に打ち込み、家族らの後押しもあってトライアスロンのプロ選手を志した。
高校卒業後は強豪の日体大に進学してトレーニングに励み、トライアスロンスクールの運営などを行う㈱サニーフィッシュ(東京都)に入社。当初はショート(短距離)を主戦場としていたが、昨年から今年にかけてロングに転向し、昨秋のロング日本選手権で準優勝を収めるなど力をつけ、来月にスペインで開かれる世界選手権にも出場する。
「初の世界大会で、自分がどこまで戦えるのか、実力を試したい」と意気込む寺澤選手。「大船渡、岩手からも祝福の声や応援があってうれしい。地元を盛り上げられるよう、世界で活躍できる選手を目指す」と誓っている。