料理通じて気軽に交流 ベトナム出身の実習生招き リトルアジア実行委が初企画(別写真あり)
令和5年4月23日付 8面

大船渡市民有志による「リトルアジア実行委員会」(嶋村考造委員長)は22日、ベトナム出身の外国人技能実習生を招いた初めての交流会を盛町の市働く婦人の家で開いた。日本の伝統的な料理や、ベトナムの家庭料理などを作りながら心を通わすとともに、市内の飲食店関係者も招き、メニュー採用への提案も行った。実行委では、今後の交流機会創出や取り組みの拡大に意欲を見せている。(佐藤 壮)

日本、ベトナムそれぞれの料理が並び、興味深く見つめる光景も
同実行委は、盛町の大船渡テレワークセンターを利用する市民やセンター関係者らで組織。昨年からセンター内でのイベントなどで、利用者らからアジア料理を切り口にした交流や地域活性化のアイデアが生まれ、模索を続けていた。
活動の第1弾として、市内に暮らす外国人技能実習生との交流会を企画。大船渡市盛町の㈱アマタケで食肉加工処理などに当たるベトナム出身の25人に加え、実行委や市民有志15人が参加した。
実習生はグループに分かれ、鶏肉をおこわで包んだ一皿や揚げ春巻き、麺料理、サラダなどを調理。ベトナム語で会話が飛び交い、にぎやかな雰囲気の中で手際よく進めた。
一方、市民有志らも、イワシのつみれ汁や、ジャガイモとワカメのかき揚げ、あんこもち、ちらしずしなどを用意。もちづくりには、市民有志の間に実習生が入り、アドバイスを受けながらともに手を動かした。
各テーブルで完成させた一品を持ち寄ると、彩り豊かで、趣向をこらしたメニューがズラリ。実習生は、料理と参加者の笑顔が入るようにスマートフォンで撮影していた。
会場には、大船渡町のキャッセン大船渡内に構える「ノイマーレ」「海山酒場」の細谷春樹店長(42)も来訪。「春巻きは、店でもやりやすい」と語りながら、研修生が仕上げた品々に関心を寄せていた。
普段、研修生は職場と宿舎の往復が多いという。ここ数年は新型コロナウイルスの影響で交流機会が減っているといい、研修生は市民にも気さくに声をかけ、笑顔を交わしていた。
昨年から実習を重ねるグエン・ティ・ハ・タインさん(31)は「日本語がまだ十分ではないので、なかなか市民とコミュニケーションをとるのは難しい。みんなで料理をつくるのは楽しかった。次は、サッカーなどスポーツでも交流できれば」と話していた。
嶋村委員長(58)は「今回の試食会イベントは、食をテーマにして、実習生と大船渡の人たちが交流することで、みんなが楽しく元気に生活できるようにと願って企画した。和気あいあいとできたのが何より。継続化やさまざまな国の人々との交流など、次につながっていけば」と語り、今後に期待を込めていた。