「お野立所」整備進む 全国植樹祭 本番まで1カ月

▲ 全国植樹祭まで1カ月に迫り、式典会場ではお野立所の整備が進む

 6月4日(日)に陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園で開かれる「第73回全国植樹祭いわて2023」まで、残り1カ月に迫った。天皇・皇后両陛下がご臨席のもと、式典や記念植樹などが予定されており、式典会場では両陛下が御着座される建築物「お野立所」の整備が行われている。今後は特別招待者席などの設置も予定しており、県実行委員会では大会へのさらなる機運醸成を図りながら、着実に準備を進めていくとしている。
 全国植樹祭は、豊かな国土の基盤である森林・緑に対する国民の理解を深めようという、国土緑化運動の中心的行事。公益社団法人国土緑化推進機構と県が共催する。
 岩手では昭和49年以来、49年ぶり2回目の開催。林業の持続的で健全な発展や森林の多面的機能に対する理解の醸成を図るとともに、東日本大震災津波からの復興の姿を国内外に発信する。
 式典会場は、公園内にある国営追悼・祈念施設の芝生広場。広場内に建設中のお野立所は、植樹祭会場の中でもシンボル的な存在であり、開催地ではその地域の特色を生かした木製建築物を設けている。
 今大会のお野立所は、同公園を設計した東京都の㈱内藤廣建築設計事務所がデザイン、設計を担当。県産木材を使い、観客席に向けて大きく開いた三日月形の屋根が特徴的な建物で、大きさは幅28・6㍍、高さ4・8㍍、奥行き9・4㍍ある。
 屋根は、伸びやかで明るい未来と、木材利用の新たな可能性を表現。海から陸に伸びる屋根のラインには、岩手の宝である森・川・海のつながりと、力強く未来へ向かう県民の姿を重ねた。基壇(床面)は柔らかな質感に仕上げ、「あたたかな県民性」を表す。
 施工は大船渡市大船渡町の㈱明和土木が担い、昨年12月から整備が進められている。県実行委によると、4月末時点での進捗は約7割といい、現在は周辺の足場などが撤去され、全体の姿が確認できる。
 今月中旬からは、会場内で特別招待者席や式典音楽隊席などの整備も始まる見通し。お手まき箱やベンチなどの工作物と合わせ、県産材製になるという。
 県農林水産部全国植樹祭推進室の柏葉保行企画総務課長は、「植樹祭まで残り1カ月となり、会場準備が本格化していく。本番に向け、準備を入念に行っていきたい」と話している。