4年ぶり GWに祭り絵巻  行列、海上渡御、余興で魅了 加茂神社式年大祭(別写真あり)

▲ お祭り広場で繰り広げられた各祭り組による余興

 大船渡市大船渡町に鎮座する加茂神社(荒谷貴志宮司)の式年大祭は3日、町内で挙行された。令和2年以降、市内各地の大祭は新型コロナウイルスの影響で中止や神事のみといった対応が続き、4年ぶりに祭り絵巻がゴールデンウイーク(GW)を彩った。コロナ禍を乗り越えて伝統をつないだ総勢約1000人の大祭関係者は、好天の下で晴れやかな表情を見せながら、地域の安寧や繁栄、大漁を祈願した。(佐藤 壮)

 

コロナ禍乗り越え躍動

 

湾内を彩った海上渡御

 4年に1度の式年大祭は、同神社式年大祭奉賛会(橋爪幸平会長)が主催。GW期間中の5月初旬が慣例で、改元間もない令和元年以来の挙行となった。
 すっきりとした青空が広がった中、午前8時から同神社で大祭式典が執り行われた。湾岸を彩る御神幸行列は夢海公園から出発し、御旅所が設けられた市魚市場を目指した。 儀式に使われる道具類を運ぶ威儀物奉持者、立切者らを合わせた大行列は1000人規模。白い装束の担ぎ手たちによって、町内各神社の神輿が練り歩いた。

 余興団体は▽地ノ森・富沢(地ノ森権現、新山神社)▽笹崎(鹿踊り、鹿踊り保存会)▽下船渡・宮ノ前(月山権現、月山神社)▽田中(加茂権現)▽赤澤(曲禄)▽屋敷(八坂権現、八坂神社)▽赤澤(鎧剣舞、赤澤芸能保存会)▽永沢(八幡権現、八幡神社)──が続いた。きらびやかな衣装を身につけた稚児たちも笑顔を振りまき、活気を呼び込んだ。
 市魚市場駐車場では御旅所祭に続き「お祭り広場」が開演。権現舞や鹿踊り、曲禄、鎧剣舞の各演舞が繰り広げられた。
 新型ウイルスや人手不足の影響で、準備に長期間を要する手踊りは地域単位の祭り組では見送られた。それでも、町内外の女性住民有志約20人は、3月下旬から自主的に練習。そろいの着物姿で、手踊り奉納の伝統をつないだ。

 本番では『春よ、来い』と『人生二勝一敗』の2曲に合わせ、息の合った動きで魅了。さらに『大船渡音頭』では、見物客も手を動かした。
 魚市場岸壁を大漁旗で彩った約20隻の船団は、神輿や余興団体などを乗せて湾内を巡航。海への感謝や大漁、津波・水難犠牲者の慰霊、疫病退散、地域繁栄の思いなどを込めた。
 華やかな光景を見守った荒谷宮司は「1年前は不安で、雲をつかむような状況だったが、地域の方々が連日連夜準備を重ねた。天気に恵まれ、見物に訪れていた方々が目を細めていたのが何より」と話していた。