今季ウニ漁スタート 気仙トップ切り大船渡湾内で 「これから」今後に期待込め(別写真あり)

▲ 箱めがねで海中をのぞき、ウニを狙う漁業者=大船渡町

集荷場には、つややかな身がズラリ=赤崎町

 大船渡湾内で9日朝、気仙沿岸のトップを切ってウニ漁が始まった。この日は前日までの降雨の影響などで数量は伸びなかったが、早朝から小型船が繰り出すエンジン音が響いた。集荷場には現品入札に向けてつややかな身が次々と持ち込まれ、関係者は今後の漁に期待を込めた。気仙沿岸のウニ漁は、今月後半からの本格化が見込まれる。(佐藤 壮)

 

 例年、大船渡湾内では大船渡市漁協の赤崎、大船渡両支所が現品入札のウニ漁をこの時期に実施。東日本大震災後は、平成27年から毎年行っているが、令和2年は新型コロナウイルスの経済面への影響で買い手の動向が不透明だったことから現品入札を見合わせ、3年に再開している。本年度は第1期が9〜12日、第2期は16〜19日と設定した。
 初日は、午前5時30分から小型船が漁を始めた。大船渡町の下船渡漁港南側には10隻ほどが並び、箱めがねで海中をのぞき込み、カギさおやタモ網を巧みに操りながら捕っていった。朝は冷たい風が吹き込み、漁業者からは「寒いね」といった声が聞かれた。
 各漁港では水揚げされたウニの殻むき作業が行われ、赤崎町の集荷場では、ぷりっとした黄色い身がズラリと並んだ。関係者は品質を見定めながら、10日以降の漁況や、湾外含めた今後の水揚げ増に期待を込めた。
 船から上がった同町の森伊太郎さん(85)は「いるといえばいる、いないといえばいない、という感じ。雨降りの後だったから見えにくかったが、最初の日は『いよいよ、これから』という感じがするね」と話した。
 出荷を終えた同町の大澤幸男さん(82)は「最初は見えにくかったが、時間がたつにつれて波が穏やかになり、ウニも上がってきた感じ。10日以降はもっと捕れるのでは。実入りはいい」と語った。
 現品入札が行われた県漁連南部支所などによると、初日の水揚げ数量は29・6㌔。昨年よりも12・4㌔少なかった。1㌔当たりの金額は7000〜1万3000円で、最高値は昨年比で3200円上回った。
 気仙地区を対象とする今月後半分の生ウニ事前入札会は、11日(木)に同支所で開かれる。上場を受け、湾外や気仙の各漁協でも開口となる見込み。例年、気仙沿岸のウニ漁は8月まで行われる。