地域の宝 後世につなぐ 町郷土芸能団体連絡協 3カ年計画で映像保存へ

▲ 町内の芸能を映像として残していく(資料)

 住田町郷土芸能団体連絡協議会(川村勝人会長)は本年度から7年度までの3カ年で、町内に伝わる郷土芸能の映像保存に取り組んでいる。少子高齢化に伴う人口減少により、各保存団体では担い手不足の課題に直面しており、芸能の存続も危ぶまれている。こうした状況を踏まえ、町の補助も受けながら着手したもので、地域の宝でもある郷土芸能を後世へとつないでいく。(清水辰彦)

 同連絡協議会には13の芸能保存団体が所属。それぞれ受け継いでいる芸能は、神楽、鹿踊り、剣舞、権現、大名行列、曲録、甚句など、小規模な町ながらも多種多様。町史によると、他地方から伝来したものが多くを占め、この中で地元の信仰風俗と結びついて独自に進展・変革したもの、古来から形を変えずに残っているものに分類できる。式年大祭や地域行事で披露されるなど、住民によって代々受け継がれてきている。
 昭和30年に世田米町、下有住村、上有住村の1町2村が合併して住田町が誕生した際には人口が1万3000人を超えていたが、以降は減少が続き、現在では約4800人となっている。かつては地域の若者が中心となって受け継いできた芸能も、担い手が高齢化し、後継者も不足しており、危機的な状況にあるといえる。
 こうした中での映像保存の取り組みは、町内の芸能の保護と活性化を目的に実施。踊りの〝マニュアル〟として、また、芸能そのものの記録として残すため、3年かけて13団体の芸能を記録していく計画で、取り組み初年度の本年度は二つの芸能の映像を完成させる予定。
 映像制作にかかる経費は町が補助する。撮影と編集は、過去にも町内の式年大祭などで芸能を撮影してきた村松昌幸さん(79)=世田米=が請け負っている。
 村松さんは4月下旬から、世田米の下在大名行列の撮影を開始。今月4日に挙行された式年大祭やこれに向けた練習の様子をカメラで追いかけた。
 完成した映像は各団体に配るほか、動画サイトへの投稿など、幅広い活用について検討していく。同協議会事務局を務める町観光協会の佐々木康行事務局長は「映像として記録することで、地域の芸能を絶やすことなく保全していけたら」と話している。