子どもの笑顔 原動力に 人形劇のポレポレ 6月に結成30年記念公演
令和5年5月13日付 3面
陸前高田市の人形劇グループ「ポレポレ」(馬場幸子代表)の結成30周年記念公演は6月11日(日)、米崎町の米崎地区コミュニティセンターで行われる。東日本大震災により劇で使う道具や仲間を失いながらも再び立ち上がり、活動を継続してきたメンバーら。公演では新作を披露するとし、結成当初から変わらない「子どもたちに笑顔を」という熱い思いを胸に準備を進めている。(阿部仁志)
ポレポレは、平成4年に市内の子育て女性らで発足。人形や小道具、舞台セットをすべて手作りし、市民芸術祭や市内外の保育所、学校、図書館などで公演しながら、「観客も声を出して物語に〝参加〟できる劇」ならではの楽しい空間を提供する。子どもたちの豊かな心を育んでいるとし、18年には「東海社会文化賞」(東海社会文化事業基金主催)を受賞した。
23年3月の東日本大震災の大津波では、高田町内にあった稽古場とともに劇の道具を流失。9人いたメンバーのうち3人が犠牲となり、残された6人も自宅流失などで大きな被害を受けた。
かけがえのない仲間や財産をなくしたが、メンバーらは同年11月に集まり、活動継続を決断。各方面から支援を受けながら翌24年から公演を再開し、25年には20周年記念事業をやり遂げた。
昨年までにメンバー2人が新たに加わり、現在は8人で活動。竹駒町内の公民館を拠点に、週1回のペースで劇の練習や道具作りを行っている。
来月の公演では、新作『番ねずみのヤカちゃん』を披露する。道具作りを昨年から進め、今月に入ってから練習が本格化。メンバーは臨時の練習日も設けながら、より良い作品づくりに臨んでいる。
絵本を基にした『番ねずみのヤカちゃん』は、とある人の家に隠れてすむネズミの家族のうち、末っ子ネズミの「ヤカちゃん」が主役。母親ネズミから「音を立ててはいけない」と言われた矢先に「うん」と大きな返事をしてしまうヤカちゃん。ネズミを捕まえようとする人やネコなど、さまざまな登場人物とヤカちゃんのユーモアあふれるやりとりで、観客の笑顔や声援を誘う。
会場には、これまでの公演で使ってきた人形を公開するコーナーも設ける。馬場代表(63)は「子どもたちの喜ぶ顔を原動力にして駆け抜けてきた30年。観客も出演者もみんなで楽しめる、人形劇の魅力を感じてもらえるような公演を目指す」と意気込む。
午前10時30分開演。会場準備や受け付けなどで協力できるボランティアを随時募集している。
問い合わせは馬場代表(℡090・6782・2961)まで。





