被災の地に室内練習場開設 「打つ、投げる楽しさを」 大船渡町の新沼さん 野球のデータ機器導入も

▲ 小中高生をはじめとした野球に加え、幅広い活用に期待を込める新沼さん

 12年前の東日本大震災でがれきに覆われた大船渡市大船渡町野々田地内の国道45号沿いに、野球の能力向上支援などを見据えた室内練習場「JSTADIUM(ジェイスタジアム)」が完成した。大船渡高校野球部OBで同校外部コーチを務め、敷地内でガソリンスタンドなどを経営する新沼丞さん(61)が開設。「自由な環境で打つ、投げる楽しさを」と、積極的な利用に期待を込める。(佐藤 壮)

 

 「みんながここを活用してくれれば」。新沼さんは16日、室内を見渡し、さまざまな思いを巡らせた。
 12年前の3月11日、野々田地内の国道45号線沿いは、木材や家屋が散乱。新沼さんが経営するガソリンスタンドは上屋施設が被災し、母・菊子さん(享年71)が犠牲となった。
 地下部分のタンクなどはほぼ無傷だった。発災1週間後の3月18日に営業を再開し、ガソリン不足に陥った地域を支えた。
 12年が経過し、エコカーの普及や復旧・復興の進展で周囲の環境は大きく変化。さらに、新沼さんは大船渡高で、プロ野球・千葉ロッテマリーンズに所属する佐々木朗希選手(21)らを直接指導してきた中、新たな事業に乗り出した。
 業種転換などを支援する国の事業再構築補助金を活用。日本政策金融公庫一関支店や東北銀行大船渡支店も協調融資で支援した。

かつてがれきに覆われた地に、スポーツ振興を願い整備(平成23年3月16日)

 テントハウス内の広さは約430平方㍍で、高さは5・5㍍。ショックパッドを敷いた上に人工芝を張り、ゆったりと過ごせる柔らかい踏み心地を整えた。
 個々の力を伸ばし、解決する練習法などを模索した指導者経験を生かす。「野球を始めた時、バットに当てたり、ストライクゾーンにボールを投げるのは、感覚がとても大事。今、野球を遊びで始める機会が少ない。自由な形で成長を後押しできれば」と語る。
 ピッチングマシンやトスマシン、球速表示板、仮設マウンドなどを備える。投手の球速や回転数、打球速度・角度などを測定する機器も取り入れる。
 ゴルフのシミュレーション機器も置くほか、ゲートボールをはじめ他種目のスポーツにも対応。活用のアイデアを随時募集する。
 各種トレーニング機器を取りそろえたスペースも常設。将来的には医療分野と連携し、けがをしにくい身体づくりも見据える。
 6月まで見学会を実施。7月以降は会員制の運営を見据えるが、会員以外の利用にも柔軟に対応する方針。問い合わせは丸新石油店(℡26・3227)へ。