漁業の新規就業者獲得へ 市のがんばる海の担い手支援事業 本年度も実施 3年間で最大540万円補助

 陸前高田市と同市の広田湾漁協は本年度も、漁業の新規就業者獲得のため、3年間で最大540万円を補助する同市がんばる海の担い手支援事業を実施する。国や県の補助制度と類似する支援区分を廃止した代わりに、後継ぎ就業型の資機材整備にかかる補助額を1回限り最大60万円から3年間最大180万円に拡充した。(高橋 信)


 対象は60歳未満の市民で、就業日から3年が経過しておらず、専業(年間150日以上)で漁業を続けられる人。事業計画(漁業の種類、出漁日数、水揚げ目標、指導漁業者の選定など)の策定が必要となる。
 支援区分は▽資機材整備支援▽生活支援——の二つ。区分を重複して受給できる。それぞれの区分で「新規就業型」と「後継ぎ就業型」に細分化して補助内容を定めている。昨年度まで設けていた「資格取得支援」(補助額最大5万円)の支援区分は、同様の県補助があるため廃止した。
 「資機材整備支援」区分の新規就業型は、従前と同じ仕組み。受給期間は最長3年。補助率を2分の1とし、金額の上限は1年目120万円、2年目72万円、3年目48万円としている。
 同支援区分の後継ぎ就業型は、補助額を増額。昨年度まで60万円を上限に1回のみの交付としていたが、上限額を1年目90万円、2年目54万円、3年目36万円の計180万円に増やした。
 「生活支援」区分の新規就業型はこれまで同様、年間最大150万円を2年間交付する。
 同区分の後継ぎ就業型は2年間で最大約130万円を配っていたが、国によるさらに手厚い類似補助があることから撤廃した。
 また、がんばる海の担い手支援事業では、新規就業者を受け入れ、指導する漁業者への補助も行っている。対象は広田湾漁協組合員で、条件は1カ月につき15日以上技術指導できる人。1カ月当たり3万円を最長2年間支給する。
 同支援事業は、県内に先駆けて平成22年度に創設。用途を限定せず、新規就業者に年間最大120万円、漁家の後継ぎに同20万円を奨励金として交付する仕組みだった。
 県などが就業希望者を育成する「いわて水産アカデミー」が令和元年度に始まり、市はこうした全県の動きと連動し、就業後の定着につなげようと、初めて同制度の見直しに着手。広田湾漁協などとの検討を経て2年度に改正し、最大240万円と定めていた3年間の補助額を同545万円に手厚くした。本年度は支援内容の精査に伴い、同540万円となった。
 市によると、交付実績は令和元年度はゼロだったが、支援拡充後の2年度4人、3年度6人、4年度8人。
 市水産課の石川浩課長は「限られる養殖漁場の確保や受け入れ側とのマッチングなど課題もあるが、漁業の振興へ引き続き支援に努めていく」と話す。
 支援の概要は別掲。問い合わせは、同課(℡54・2111内線453)へ。