前年比増もコロナ禍前の75% 4年の観光入込客数と宿泊者数 外国人や三陸沿岸道活用が鍵に

 大船渡市内の令和4年における市内観光入込客数は58万4277人、宿泊者は15万8760人となり、いずれも前年比で約20%増加した。新型コロナウイルスによる行動制限が緩和され、各種イベント復活などに伴って伸びた一方、コロナ禍前となる令和元年比では75%前後にとどまる。さらなる回復へ、外国人観光客の取り込みや三陸沿岸道利用者の来訪増、各種イベントとの連動などが求められる。(佐藤 壮)

 

 4年の観光入込客数を月別にみると、3月と11月以外は前年比増で推移。入込客数が最も多かったのは8月の9万9968人で、前年を約3万2000人上回った。市民道中踊りが復活した三陸・大船渡夏まつりの来場者増や、三陸町内の海水浴場開設などがけん引。一方、コロナ禍前となる令和元年度は15万人を超えていただけに、にぎわいは戻り切らなかった。
 10月は7万6707人で、前年の1・9倍となったほか、元年の7万2575人も上回った。2年間見送られた産業まつりを2日間開催したほか、陸前高田市での花火大会を鑑賞する宿泊客らとの連動を見据え、日程を合わせた。
 宿泊客数は、6月と12月を除いて、前年を上回った。最も多かったのは7月の1万8467人。例年、夏場の宿泊客数が多いが、9~12月も1万人超で推移。特に9月は1万4559人で、前年からほぼ倍増した。
 宿泊・観光業は苦境が続く中、市は昨年度も宿泊観光回復事業「大船渡に泊まってHappy!大作戦Part3」を展開。1人1泊につき、宿泊料金から最大4000円が割り引きとなり、さらに市内飲食店や商店で使えるクーポン券1000円分を交付した。
 7~8月は市内で一定の宿泊需要があるため、宿泊関係事業者との意見交換会で寄せられた意見も踏まえ、9月開始とした。翌年1月までに1万138泊分の利用があり、観光客の来訪を下支えした。
 市内の観光客数は、東日本大震災発生前の入込客数は微減が続き、震災翌年の24年から3年間は被災地支援などによって一時的に増加。その後は減少傾向が続いたが、令和元年に初めて回復した。
 宿泊客数は平成24年は復興関連工事従事者らの増加により、震災前年実績の2倍以上に伸びた。27年には震災前実績と同水準となり、30年は10万人台となったものの、令和元年は再び20万人台に回復した。
 今年5月3、4日に開催した碁石海岸観光まつりでは、2日間で計1万7000人が来場し、昨年から約2000人増加。県外在住者や外国人の来訪も目立った。今後はコロナ禍前と変わらない状況でのイベント開催が増え、本年度はさらなる観光客増が見込まれる。
 半面、不安要素や課題も抱える。教育旅行は近年、県内や近隣県の児童・生徒らの利用を受けて堅調だったが、新型ウイルスの影響収束で再び〝遠出〟の傾向が予想される。
 市内の外国人観光客はコロナ禍前も、全体に占める割合は1%未満。県内では、花巻空港と台湾を結ぶ国際定期便の再開に加え、米国のニューヨーク・タイムズ紙が「2023年に行くべき52カ所」の一つとして、ロンドンに次いで2番目に盛岡市を紹介するといった好材料がある中、大船渡も食や自然景観、体験、SNSを生かした受け入れ増が求められる。
 三陸沿岸道の全線開通で交通アクセスが充実した一方、立ち寄らずに通過する割合の増加も懸念される。大船渡市内のインターチェンジは、道の駅やガソリンスタンドが近隣に立地しており、こうした利点を生かした滞在時間増加に向けた取り組みも焦点となる。
 大船渡市の森正観光交流推進室次長は「今後も、外国人観光客や三陸沿岸道を生かした観光振興などに力を入れていきたい。観光ビジョン推進委員会のメンバーらとともに知恵を出し合いながら進めていく」と語る。
 観光客・宿泊者数の推移は別掲。