2023県議選大船渡・陸前高田選挙区/新区割り 混戦の様相 告示まで残り3カ月 定数2に現・新3人出馬の構え

 岩手県議選(定数48)は、8月25日(金)の告示まで、残り3カ月となった。気仙はこれまで、いずれも定数1の大船渡選挙区(大船渡市)と陸前高田選挙区(陸前高田市・住田町)に分かれていたが、区割り改定で今回から両選挙区が合区となり、定数2の「大船渡・陸前高田選挙区」となる。すでに現職2人と新人1人の計3人が出馬を表明し、混戦の様相を呈する。政党支持や知事選との連動、地域内の知名度などが複雑に絡み合うほか、新たな候補擁立への関心を含め、不透明な情勢が続いている。(佐藤 壮)


 現職は、千葉盛氏(40)=大船渡選挙区・1期、大船渡市猪川町=と、佐々木茂光氏(65)=陸前高田選挙区・3期、陸前高田市気仙町、自民党県連公認=が、そろって出馬の構え。さらに、前同市議の新人・畠山恵美子氏(52)=同市横田町、同党県連推薦=が起意を示している。
 千葉氏は参議院議員などを務めた藤原良信氏の秘書を経て、平成24年の市議選に初当選。2期務めて辞職し、4年前の県議選は1万1383票で新人同士の一騎打ちを制した。現在は第3会派の「いわて新政会」に所属し、達増県政を支える立場で活動してきた。
 昨年9月以降、周囲に再選意思を示してきた。各戸折り込み配布などによる県政報告を通じて実績を伝えるほか、コロナ禍は思うように動けなかった後援会活動も再稼働を見据える。「前回獲得した票を大事にしながら、陸前高田市や住田町で上積みを図りたい」と語る。
 佐々木氏は市議3期を経て、平成19年の県議選は敗れたが、23年には1万142票を得て新人対決に勝利。27年と前回は無投票で当選し、現在は第2会派の自由民主党で活動している。自身が支部長を務める同党陸前高田市支部の申請で、同党県連の公認を得た。
 同市内は党支部の動きの中で支持固めを図り、大船渡市や住田町内は後援会などのつながりから掘り起こしを進める。自身12年ぶりの競争選に向け「初心に返る思いで、支持を広げていかなければ。報告会や決起大会も早めにしたいが、やはり、歩くことが基本」と話す。
 畠山氏は、平成27年の陸前高田市議選で初当選を飾り、令和元年に再選。監査委員などを歴任したほか、岩手、宮城両県の市議で構成し、総務大臣に届け出た政治団体「とうほく未来創生」でも活動してきた。今年2月、県議選出馬を表明。市議は先月辞職した。
 既存の後援会が中心となり同市内で浸透を図るほか、住田支部も活動を展開。大船渡市内も後援会関係者と回るほか、自民党県連への推薦を上申した同党大船渡支部の後押しを受ける。「政党支持にとらわれない浮動層の取り込みにも力を入れたい」と、今後を見据える。
 今選挙選における焦点の一つは、ともに9月3日(日)の投票となる県知事選との連動。知事選は、5選を目指す現職・達増拓也氏(58)と前県議の新人・千葉絢子氏(44)が立候補を予定している。立憲民主県連などが支援に回るとみられる達増氏に対し、千葉氏は自民党県連が全面的に支え、与野党対決の構図が色濃くなっている。
 各候補予定者の県知事選との関わり方を見ると、千葉盛氏は藤原氏が達増氏を支持する中、同調の姿勢を示す。佐々木氏は千葉絢氏を支持し、各地に〝2連ポスター〟を展開。畠山氏は自民党県連の推薦決定前から、千葉絢氏の政治姿勢に賛同してきた。
 立憲民主党をはじめ自民党以外の支持者からは、大船渡・陸前高田選挙区でのさらなる候補擁立への期待も根強い。また、G7サミット閉幕を受け、早期の衆議院解散論がちらつくだけに、政党関係者は国政の動向にも気をもむ。県議選や知事選と同日投開票となる陸前高田市議選への波及も、混沌としている。
 新たな区割りに伴う有権者の意識変化も読みにくい。在住地以外の市町からの取り込みは、各陣営とも手探りの状態。支持政党や訴えの違いに加え、居住地を強みとした地域への浸透がどこまで広がるのかや、市町別の投票率の違いなど、初の〝気仙決戦〟は不透明要素が多い。
 3月1日現在の有権者数は、大船渡市が2万9329人(男1万3969人、女1万5360人)、陸前高田市1万5850人(男7647人、女8203人)、住田町が4355人(男2130人、女2225人)。全県は102万4626人(男49万578人、女53万4048人)。写真の並びは右から表明順。