第73回全国植樹祭いわて2023/「お野立所」建築工事完成 開催まであと7日 成功に向け会場準備進む

▲ 全国植樹祭の式典会場に建設された「お野立所」(24日撮影)

 6月4日(日)に陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園で開かれる「第73回全国植樹祭いわて2023」まで、28日であと7日に迫った。式典会場となる国営追悼・祈念施設の芝生広場では、大会のシンボルでもある「お野立所」の建築工事が26日に完成し、周辺では特別招待者席や式典音楽隊席などの整備が行われている。県実行委員会では1週間後の本番成功に向け、関係機関と連携しながら準備を進めていくとしている。(三浦佳恵)


 全国植樹祭は、豊かな国土の基盤である森林・緑に対する国民の理解を深めようという、国土緑化運動の中心的行事。岩手では昭和49年以来、49年ぶり2回目の開催となり、林業の持続的で健全な発展や森林の多面的機能に対する理解の醸成を図るとともに、東日本大震災津波からの復興の姿を国内外に発信する。
 当日は、午前中に同公園や高田松原運動公園内で招待者らによる記念植樹を行い、午後1時から式典が催される。天皇・皇后両陛下は同2時からの記念式典に出席され、「お手植え」や「お手まき」に臨まれる。
 お野立所は、両陛下が着座される建築物。開催地では、地域の特色を生かした木製建築物を整備している。
 今大会のお野立所は、復興祈念公園を設計した東京都の㈱内藤廣建築設計事務所がデザイン、設計を担当。震災犠牲者の追悼、鎮魂の場である同公園の風景と調和させ、観客席に向けて大きく開いた三日月形の屋根が特徴的な建物をデザインした。
 屋根は、伸びやかで明るい未来と、木材利用の新たな可能性を表現。海から陸に伸びる屋根のラインには、本県の宝である森・川・海のつながりと、力強く未来へ向かう県民の姿を重ねた。基壇(床面)は柔らかな質感に仕上げ、「あたたかな県民性」を表した。
 県産木材を用いており、大きさは幅28・6㍍、高さ4・8㍍、奥行き9・4㍍ある。
 施工は、大船渡市大船渡町の㈱明和土木が担当。建築工事は昨年12月から進められ、今月26日に完成した。
 同社の金野乃士代表取締役(33)は、「こだわった形の設計で工期も限られるなど、難しい現場ではあったが、気仙各地の業者の方々からも協力を受けて完成することができた」と、工事従事者や関係機関の協力に感謝したうえで、「全国植樹祭のお野立所というなかなか経験できない仕事に携わることができ、大変光栄に思う」と話していた。
 県実行委によると、お野立所では今後、両陛下の「お机」などを設置するといった準備を進めるという。会場ではこのほか、特別招待者席、式典音楽隊席などの仮設工作物も整備されている。
 式典会場周辺では、来月2日(金)から本番まで関係者以外の立ち入りを制限。同日には式典の最終リハーサルを予定する。
 県農林水産部全国植樹祭推進室の柏葉保行企画総務課長は、「本番まで1週間となり、会場の整備は順調に進んでいる。気を抜かずに最終チェックなどに励み、大会では岩手の森林や復興支援への感謝を伝えたい」と気を引き締める。