きょう最後の定期運行 JR釜石線の「SL銀河」
令和5年6月4日付 2面

JR釜石線(花巻―釜石間)で運行する「SL銀河」は、4日で定期運行を終了する。3日は花巻駅発、釜石駅着の下り線を走り、最後の勇姿を見届けようと沿線各地に多くの鉄道ファンが訪れた。気仙で唯一釜石線の鉄路が通る住田町の上有住駅にも停車し、町内外から見物客らが汽笛を上げて走り抜ける列車に手を振った。
SL銀河は、宮沢賢治作品『銀河鉄道の夜』をモチーフに改修した機関車と、4両編成の旅客車で構成。観光面からの復興支援と地域活性化の一助にと、平成26年4月にデビュー。気仙では住田町の上有住駅に停車しており、毎年、見物客も多く訪れている。
運行開始以来、主に春から初冬にかけて土日を中心に花巻駅─釜石駅間を運行。運行開始から令和4年12月までに約480本を運行、およそ7万人が乗車しており、全国の鉄道ファンたちに愛されてきた。
これまで定期検査しながら運行してきたが、40年余り前の車両をベースとする旅客車は部品調達が困難となっていることから廃車を決定。機関車は当面の間、盛岡の検収庫に置かれ、今後の活用を検討するとしている。
定期運行の往路最終日となったこの日、花巻や遠野、釜石の各駅では、住民らが郷土芸能などでお出迎え。上有住駅では催しこそなかったものの、駅のホームに加えて近くにあるトンネルの付近にもSLファンが駆けつけ、その勇姿を見届けながらカメラに収めていた。
SL銀河の定期運行は、4日の釜石駅発、花巻駅着の上り線での運行をもって終了。今月10日(土)、11日(日)運行の団体臨時列車(旅行商品専用)が、SL銀河としてのラストランとなる。
両日は、上有住駅でも五葉山火縄銃鉄砲隊や町のPRキャラクター・すみっこ、チェーンソーアーティストらによる出迎えと見送りを予定しており、10年間にわたり沿線の観光振興と被災地復興を後押ししたSL銀河へと感謝を示す。