第73回全国植樹祭いわて2023/緑への思いと感謝 国内外へ 天皇・皇后両陛下ご臨席し式典 復興の象徴・高田松原で

▲ 岩手で2回目となる全国植樹祭が開かれ、お手植えに臨まれる天皇・皇后両陛下

 「第73回全国植樹祭いわて2023」(公益社団法人国土緑化推進機構、岩手県主催)は4日、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園で開かれた。天皇・皇后両陛下がご臨席のもとでの式典や、招待者らによる記念植樹などが行われ、東日本大震災津波からの復興を象徴する同公園から、岩手の豊かな緑への思い、12年前の教訓と復興支援への感謝を国内外へと発信した。(8面に関連記事、三浦佳恵)

 

 全国植樹祭は、国土緑化運動の中心的行事。今大会は「緑をつなごう 輝くイーハトーブの森から」をテーマに、森林の持続的で健全な発展などを図り、震災津波からの復興の姿を国内外に発信する。
 この日は好天のもと、県内外から招待者約2200人が来場。午前9時過ぎから同公園と高田松原運動公園で記念植樹が行われ、招待者らが多彩な樹種の苗木計約3300本を植えた。
 午後は国営追悼・祈念施設の芝生広場で、3部構成による式典を開催。ストーリーテラーは広田町出身の俳優・村上弘明さんが務め、地元の高校生がアシスタントや音楽隊として式を支えた。
 「感謝~ありがとう いわてからの感謝状~」をテーマにしたプロローグアトラクションには、気仙の児童・生徒、地域住民らが出演。復興支援に対する感謝の思いを伝えた。
 記念式典には天皇・皇后両陛下が出席され、主催者を代表して大会長の細田博之衆議院議長、達増拓也知事があいさつ。
 天皇陛下は震災の犠牲者に哀悼の意を示されたうえで、「かけがえのない財産である森林を守り、育て、次の世代につなげていく活動が、岩手の地から全国へ、そして未来に向けて、大きく広がっていくことを願う」と述べられた。両陛下は「お手植え」「お手まき」にも臨まれ、苗木や種子が地域に根付き、さらなる復興とともに歩む存在となるよう願いを込められた。
 その後は、「誓い~緑をつなごう 輝くイーハトーブの森から」をテーマにした、創作ダンスなどの披露も。「私たちは、森林・林業や木材産業に関する技術の研さんに励み、みどり輝くふるさとの未来を切り拓きます」などを重点に置いた大会宣言も行われた。
 両陛下が退席されたあとは、エピローグ「希望~みどり輝く未来へ向けて~」として、森林・林業の未来に向けた取り組みなどを紹介。出演者全員によるフィナーレで幕を閉じた。
 曵地明美花さん(横田小6年)は、式典で苗木の贈呈を担当。「両陛下の前でも、堂々とした気持ちで臨めたのでよかった。植樹祭をきっかけに、自然をより大切にできるよう頑張っていきたい」と話し、充実した表情を見せていた。