お待たせ!カツオ到来 大船渡市魚市場 巻き網船が今季初水揚げ 中小サイズ主体で一気に126㌧(動画、別写真あり)
令和5年6月20日付 7面

気仙地方に夏漁の本格化を告げるカツオが18日、大船渡市大船渡町の同市魚市場に今季初めて水揚げされた。県外の巻き網船が入港し、中小サイズ(2・5㌔~1・8㌔)を中心に126㌧を水揚げ。昨年より13日遅かったが、1隻あたりの初水揚げとしては過去にない量といい、魚市場関係者が慌ただしく大きさの選別に追われ、活気に包まれた。(佐藤 壮)
この日入港したのは、三重県南伊勢町の巻き網船「第三十三清勝丸」(堀内孝彦船長、386㌧)。前日午後まで千葉県銚子東沖で漁獲したカツオを水揚げした。
午前8時すぎに接岸し、次々と岸壁に移されたカツオは、市場職員らが手際よく大きさの選別にあたった。ベルトコンベヤー上では、丸々としたしま模様の魚体が輝き、カツオが入ったタンクを運ぶフォークリフトがあわただしく行き交った。
堀内船長(57)は「今年は量があるし、陸からそれほど離れていないところで操業できている。大きさも昨年はばらついていたが、今年はまとまっている。日曜日に開場してくれるのは、こちらとしてもありがたい」と話していた。
大きさは、スーパーなどでも扱いやすいとされる中小サイズが全体の75%超を占めた。入札価格は1㌔1190円~251円で、平均は303円。入札後は早速、加工場向けにトラックで運ばれたほか、市内の産直施設にも出された。
場内の選別作業にも加わった大船渡魚市場㈱の千葉隆美社長は「初水揚げで1隻だけで120㌧を超えたのは、過去にないのではないか。季節の魚を季節に扱うことができ、安心している。夏漁の弾みになれば」と、願いも込めて話していた。
同魚市場では平成12年から、気仙沼魚市場が休場の場合にカツオ船を受け入れており、特に日曜水揚げの〝サンデーカツオ〟として親しまれている。例年6〜8月に一本釣り船を含め、まとまった水揚げがある。
巻き網船や一本釣り船によるカツオの水揚げは昨年、低調に終わった。昨年の数量累計は651㌧と昨年比で58%減、金額も2億3885万円で同比38%減となった。近年は8~9月にかけての戻りガツオが皆無となる様相を呈しており、サンマと同様に回遊範囲が広いことから、海況異変が感じられる代表的な魚種となっている。