「ニューオキライ」で再出発 駅併設の三陸町観光セ 24日から週末中心に開所

▲ 4月以降閉所となっている三陸町観光センター

清掃作業後に円座で談笑し、充実した利用を誓い合った法人関係者や地域住民

 大船渡市三陸町越喜来の三陸鉄道・三陸駅に併設し、今年3月末で閉所した三陸町観光センター施設が、今月24日(土)に「ニューオキライ」として再出発する。市民有志が立ち上げた一般社団法人が市から建物を借り、当面は週末を中心に開所。いすやテーブルを置き、法人関係者や地域住民が〝留守番〟をしながら、地元内外の気軽な来訪を促す。初日は午前10時からオープニングイベントも計画している。(佐藤 壮)

 

市民有志が新法人

 

 センター内では18日、一般社団法人キラキラ越喜来(佐々木イザベル代表理事)の役員や地域住民ら約10人が集まり、清掃と設置物の撤去作業を行った。ガラス越しに越喜来湾が見えるほか、談笑の声が響き、参加者は充実した利用に期待を込めた。
 昭和60年から乗車券・売店販売を担い、日中時間帯を中心に出入りできた三陸町観光センターは、綾里駅に併設する綾里物産センターとともに3月末で閉所した。市観光物産協会が職員を配置して運営していたが、施設利用者が減少し、長年不採算が続いていたため、業務を終了した。
 終了前から地域内外では「何とかならないか」といった声が出ていた。駅に近い東日本大震災津波資料館「潮目」の主人で、同法人の片山和一良副代表は「高齢者らが何も用事がなくても立ち寄ったりする施設だった。今は通り抜けもできず、通学の高校生も施設の脇を通ってホームに行く姿がさみしい」と語る。
 市地域おこし協力隊員時代から、観光交流事業に携わってきた佐々木代表も「柿のれんを作るために、皮むきをしたりとか、ここに来れば季節を感じたり、人が集まって楽しいことがあった」と振り返る。地元内外の人々が気軽に足を運び、交流できる空間づくりに向け、4月に法人を立ち上げ、所有者である市との調整を重ねてきた。
 近年は、みちのく潮風トレイルを巡るハイカーが増えている中、名称は外国人にも分かりやすいよう「ニューオキライ」とした。いすとテーブルを置き、誰でも集まって交流できるコミュニティスペースを作る。
 平屋建てで、床面積は約70平方㍍。カウンターキッチンもあり、今後は▽日中のカフェ運営▽地域産品や手作り品の販売▽イベント運営──も目指す。さらに各種文化活動の稽古や会合利用に加え、みちのく潮風トレイルや三陸鉄道の乗客、ツアー客らの立ち寄りも見据える。
 佐々木代表は「地元の人も外から来た人も気軽に、交流や情報交換が生まれる場になれば」と語る。所有者である市とも連携をとりながら、個人・団体の利用充実に期待を込める。
 当面は毎週土、日曜日の午前9時~午後5時に開所。24日は午前10時からの開所式後に「もちまき」も予定している。また、28日(水)午前10時からは深大寺陶芸教室=東京都調布市=による陶芸教室や、尺八コンサートも開かれる。
 同法人では、運営維持に向けた寄付も受け付けている。問い合わせはキラキラ越喜来のメール(info@newokirai.com)へ。