つながり生かし充実を ソーシャルビジネスネットワーク組織 大船渡から気仙全域に拡充

 地域課題解決につながる社会的事業活動を支援していこうと平成28年に発足した大船渡ソーシャルビジネスネットワークが、気仙全域への拡充を見据えて「気仙(大船渡、陸前高田、住田町)ソーシャルビジネスネットワーク」に改称した。22日に関係機関担当者による会合が大船渡商工会議所で開かれ、市町の枠を超えた取り組みの充実を誓い合った。(佐藤 壮)

 

関係機関が集まった気仙ソーシャルビジネスネットワークの会合

 ソーシャルビジネスは、高齢者や障害者の介護・福祉、子育て支援、まちづくり、環境保護、地域活性化など地域や社会が抱える諸課題の解決に向け、ビジネスの手法を用いて取り組む事業活動を指す。課題の多様化、複雑化を受け、きめ細かい支援や地域・組織との連携が欠かせず、こうしたつながりを支える機関の充実が求められている。
 大船渡ソーシャルビジネスネットワークは、地域課題の解決、東日本大震災からの復興活動などに取り組む法人等への支援体制強化を見据え、日本政策金融公庫一関支店の呼びかけに、市や商議所、東北税理士会大船渡支部、大船渡市市民活動支援センターが賛同。昨年度、同公庫と共催したセミナーには約20人が出席し、陸前高田などからの参加も目立った。
 こうした中、新たな構成機関として陸前高田と住田町の両商工会、陸前高田まちづくり協働センターが加わり、ネットワークを拡充。初会合には、各機関の担当者約10人が出席した。
 同公庫一関支店の飯島俊介融資課長は、社会的課題解決の取り組みが広範に及び、同公庫における昨年度の融資実績も30代以下による若者の取り組みなどが伸びている状況を説明。「他地域の支援事例から良い気づきが得られる」「ネットワークが行う意見交換会などを通じて、横のつながりが生まれる」といったメリットに触れた。
 構成機関の紹介では、出席した担当者が現状や今後への期待を語った。陸前高田まちづくり協働センターの三浦まり江理事長は「活動資源が限られている中、陸前高田市の団体も大船渡市や気仙沼市に活動を広げている状況が見られる。広域での支援はより大切になるのでは」と述べた。
 構成機関のうち、同支店は小企業金融を担う政策金融機関として資金調達や経営改善などを通じて活動を後押し。大船渡市は補助金や助成金の支給などから、NPO法人を支援する。
 会議所や商工会は、経営指導員によるアドバイスなどを通じて活動を支援し、東北税理士会大船渡支部は税金・申告・財務に関する相談に対応。市民活動支援センターやまちづくり協働センターは、非営利・公益的な活動を展開する団体を支えている。
 今後は各組織の強みを結びつけ、単独では難しい効果的なサービス提供を目指す。各種課題・調整に対応できる団体の紹介やソーシャルビジネス向けのセミナー、事業者間の意見交換会、ワンストップ相談会、勉強会の各開催を見据える。
 ネットワークの概要図は別掲。