窓口相談 前年度比63%増 4年度の市民活動支援センター実績 コロナ禍からの活性化後押し
令和5年6月24日付 7面

NPO法人おおふなと市民活動センター(木下雄太理事長)は、大船渡市大船渡町のキャッセン大船渡内で開設・運営している市民活動支援センターの令和4年度活動実績をまとめた。窓口業務での相談は244件で、前年度比63%増。6割超がイベント周知に関する内容で、コロナ禍を乗り越え、平時に近い取り組みや活気が戻り始めた動きがうかがえる。持続可能な地区組織づくりも後押ししてきた中、今後も各地区や団体の実情に沿って支援を進める。(佐藤 壮)
同センターは平成26年2月、盛町のサン・リア内に開設。令和2年度にセンターの拠点をキャッセン大船渡に移した。
「公設民営型」の常設センターで、東日本大震災前からの市民活動や、NPO、NGOのさらなる充実に向け、支援活動を展開。各種団体が運営や資金獲得等で相談できる環境も整えている。
センター内などで対応した相談内容はイベント周知が大半を占め、コロナ禍における感染防止策のノウハウ確立などを生かし、各団体が従来の取り組みを目指した足跡がうかがえる。
木下理事長は「センターの情報発信ツールを利用し、イベントなどを知ってもらえると期待する動きが増えた。イベントに訪れてほしいと思う半面、コロナ禍で開催できない時期が続き、ノウハウやつながりができなかった面もあるのではないか」と振り返る。
2、3年度は、あらゆる分野で活動自粛が広がったが、4年度は復活の動きが目立った。同センターでも交流会を企画し、各種団体間の情報共有を図ったところ「顔の見える関係を築くきっかけになった」との声もあり、継続の必要性も浮かび上がったという。
また、助成金獲得件数は10件で、金額は計300万円。市民活動団体や公民館などへの訪問件数は434件で、前年度比22%増となった。各団体の状況を確認し、変更などがあった場合は、センター内にある団体ファイルやホームページの情報を更新した。
市民活動団体のスキルアップを目的とした「みんなで一緒に学ぼう会」は12回開催。参加者は延べ145人で、前年度比1・5倍となった。4年度はホームページの作成講座を連続で行うなど、成果が見えやすい企画や、地域づくりの先進事例を学ぶ内容など、工夫を重ねた。
このほか、一般社団法人大船渡青年会議所などによるウクライナの支援活動をサポート。大船渡高校が実施する「大船渡学・ソクラテスミーティング」への社会人参加も支えた。
地域支援では、市内9地区公民館・地区運営組織で、話し合いやワークショップの設計・実施に携わった。内容は部会の話し合いや地区運営組織発足に向けた準備委員会でのワークショップ、住民アンケート実施など多岐にわたる。事務局を担う地区公民館や市との協議を重ねながら、地区それぞれの実情に合わせた支援に回った。
昨年度は、越喜来地区で持続可能な地区づくりや、地区公民館から地区運営組織への移行を見据え、越喜来活性化協議会が新たに発足。準備委員会段階でのワークショップや住民間の意見交換を生かし、初年度から積極的に地域の交流をはぐくむ活動などが広がっている。
今後に向け、木下理事長は「イベントはもちろん、他の組織とも連携しながら助成金、補助金確保や資金確保のサポートもやりたい。市民や団体の『やりたい』を後押しできれば」と話す。