ふるさと納税拡大支援 大船渡商議所 中間委託業者や市と連携 地元事業所の参加後押し
令和5年6月27日付 1面

大船渡商工会議所(米谷春夫会頭)は、市内事業所の販路開拓に向けた事業の一環で、市ふるさと納税の活用・参加支援に力を入れる。令和4年度における市の「ふるさと大船渡応援寄付金」の実績は前年度を下回り、各自治体間との〝競争〟が加熱する中、参加事業者数や返礼品数の伸び悩みといった課題が浮き彫りになった。7月3日(月)に募集説明会を開催するなど、中間委託業者や市と連携しながら取り組みを展開する。商議所では「参入へのハードルを下げていきたい」とし、充実を目指す。(佐藤 壮)
ふるさと納税制度は「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として、平成20年に創設。市でも同年から「ふるさと大船渡応援寄附」を始めた。
一般的に、自治体に寄付した場合、確定申告を行うことで寄付金額の一部が所得税・住民税から控除される。ふるさと納税では、原則として自己負担額の2000円を除いた額が控除対象となる。近年、全国的には寄付額が年々増加して1兆円台に達する勢いで、さらなる拡大も期待される。
市がまとめた令和4年度実績(速報値)によると、件数は1万17件で、金額は1億8306万円。過去最高の前年度と比較し、件数は767件、金額では約1700万円減少。平成29年度以来5年ぶりに前年度割れとなった。
市は減少要因として▽事業者数、返礼品数の伸び悩み▽魅力ある返礼品の開発不足▽主要海産物の不漁による返礼品の魅力低下▽前年度よりも設定寄付額の低い返礼品に集中──などを挙げる。
市は本年度の寄付目標額を4億円に設定。新たな中間委託業者と契約を結び、充実を目指している。
4年度末で返礼品に参加しているのは、市内に本社、拠点を構える約40事業者。商議所でも本年度、新型コロナウイルスの影響に加え、エネルギー類の高騰などで苦境に立つ事業者支援事業に力を入れる。その一環で、ふるさと納税拡大の販路開拓支援事業を進める。
商議所では2年度から、地元企業支援策として「大船渡ふるさと応援便」を展開しており、商品撮影や詰め合わせセット開発の活用を目指す。昨年度は46事業者が参加し、水産、農畜産の各加工品、菓子、工芸、酒類などのギフト商品を掲載したパンフレットを作成した。
さらに、これまでの地元事業者とのつながりを生かし、中間委託事業者などへの積極的な紹介も見据える。商議所では「ふるさと納税の需要が高まる年末までに、各事業者にとって売り上げ拡大のチャンスとなるように後押ししていきたい。参加しやすいつながりを支援することで、事業者側のハードルを下げていきたい」としている。
市との共催による初の説明会は、7月3日午前10時から同商議所で開催。1時間30分程度で、講師は中間委託事業者の担当者が務める。問い合わせ、申し込みは同商議所(℡26・2141)へ。
市のふるさと納税実績の推移は別掲。