〝正念場〟どう乗り超える 住田高校魅力化推進会議 学校存続へ意見交わす(別写真あり)
令和5年6月28日付 1面

住田町などによる本年度第1回の住田高校魅力化推進会議は26日夜、同町世田米の町農林会館で開かれた。令和3年度に策定した「住田高校魅力化構想」のうち、年度ごとに定める重点アクションの経過が示されたほか、魅力向上に向けたグループワークなどを実施。令和4、5年度の入学者数が県教委の募集停止判断要素となる20人を割り、学校存続への正念場を迎える中、参加者が町内唯一の高校の魅力向上に向けて意見を交わした。(清水辰彦)
住田高校魅力化推進会議は、中山間地域の未来を担う人材育成のため、町と同校の連携によって多角的に高校の魅力向上を図ろうと、令和2年度に設置。町や町内各中学校、住田高校の校長ら、PTA、町内団体・企業などを委員、町教委職員や教育コーディネーターを事務局として構成し、一般社団法人・邑サポートが運営委託を受けている。
初年度は魅力化構想に関する意見交換や魅力化に向けたワークショップなどを展開し、3年度に魅力化構想を策定。「山あいの小さな町から、視座高く視野広く物事を捉え、身の回りの社会に誠実に働きかける人材」を大目標に、「自主」「創造」「至誠」「共生」の四つの素養を生徒に身につけてもらうことを掲げる。
同構想に基づいて、昨年度からは▽生徒が安心して挑戦できる環境づくり▽多様な出会いの場づくり▽町独自教科・地域創造学の充実▽持続可能な事業の推進──の4項目を柱とするアクションプランを進めている。
同日の会議には、委員や事務局の約20人が出席。はじめに、神田謙一町長が「魅力を高めていき、高校の存続だけでなく発展につなげたい」とあいさつ。引き続き、事務局側が魅力化推進に向けた本年度のアクションについて説明した。
それによると、重点アクションの一つ「多様な出会いの場づくり」では、地域に触れる企画「レクデー」を生徒とともにつくりあげていくことや、国際交流機会の充実などを方針として掲げており、5、6月には外国人技能実習生とのフットサル、台湾出身者らとの交流の場も設けられた。
この日はグループワークも行われ、委員一人一人が生徒のためにできる企画を提案し合った。
この中で、さまざまな職種・立場の委員から「クッブ大会に高校生チームも参加してもらう」「高校生が町内の中学校で出前授業を行う」「文化祭で林業体験ブースを設け、丸太切りなどに挑戦してもらう」など、それぞれの人脈や強みを生かしたアイデアが寄せられ、生徒の学びとチャレンジの場を校内だけでなく地域へと広げていこうとの方向性を確認した。推進会議は今後、来年2月に第2回を開催する予定。
住田高校の入学者は昨年度が19人、本年度が17人で、2年続けて20人を下回った。
県教委による県立高校再編計画では、住田を含めた1学年1学級校について、入学者数が2年連続で20人以下になった場合、原則として翌年度に募集停止し、統合を進めるとしている。現時点で、県教委がどのような対応を取るかは示されていないが、出席者は高校存続への危機感を持ちながら議論に臨んだ。
松高正俊教育長は「魅力化の推進はこれまでも行ってきているが、さらに多くの方々に知っていただきたい。地域の中学校にも広く周知して住田高校の魅力を知ってもらい、入学者数も増やしていきたい」と話していた。