コロナ禍経て4年ぶり訪問 東京の深大寺陶芸教室 気仙各地で交流活動
令和5年6月30日付 7面

東日本大震災後の復興支援として、気仙各地で陶芸を通じた交流活動を展開してきた東京都調布市の深大寺陶芸教室は28、29の両日、大船渡、陸前高田両市でワークショップや尺八のコンサートを開いた。近年は新型コロナウイルスの影響で中断していたため、気仙での活動は令和元年10月以来4年ぶり。教室を主宰する馬場咲夫さん(72)ら有志7人が気仙を訪れ、地域住民らとの再会を喜び合うとともに、今後も交流活動を続けていくと誓いを込めた。(三浦佳恵)
住民との再会喜びながら
馬場さんと妻の純子さん(69)は震災後の平成23年9月、被災地支援活動で初めて気仙を訪問。陸前高田市内でがれき撤去のボランティアを行った。
25年からは「心の支援」として、気仙各地で陶芸のワークショップを開催。令和元年10月まで14回、延べ約100会場で開き、陶芸の楽しさを地域住民らに伝え、交流を深めてきた。

教室の参加者らと懇談も行い、交流を深めた
しかし、コロナ禍の影響で活動は中断。今年5月に新型ウイルスが感染症法上の5類に移行し、感染状況が落ち着いてきたこともあり、4年ぶり、15回目の交流活動が実現した。
今回は、馬場さん夫妻をはじめ、調布市や兵庫県西宮市から有志7人が27~30日の日程で訪問。陸前高田市小友町で陶工房を開く佐藤ます子さん(73)と、夫の善治郎さん(74)も協力した。
一行は3グループに分かれ、気仙両市の商業施設や保育園、災害公営住宅などで陶芸教室、尺八のコンサートを開催。このうち、29日の午前中は、大船渡町のおおふなぽーとでNPO法人おはなしころりん(江刺由紀子理事長)による陶芸教室が開かれた。
市民ら15人が参加し、馬場さんが講師を担当。一輪挿し作りが行われ、馬場さんは実演を交えながら成形までの手順、模様付けの工夫などを指導した。
参加者らは熱心に手を動かし、アイデアも生かしながら自分だけの作品を制作。一輪挿しは、東京での乾燥や焼成作業を経て、約1カ月後には参加者らに渡されるという。
末崎町の桑原サキ子さん(79)は、令和元年に市内で開かれた教室に参加。「以前作った皿はすてきな作品になったので、娘に贈った。いざ作ってみると思い通りにいかず、出来上がりが心配だが、楽しみでもある。一輪挿しには野の花を飾り、絵にしたい。また参加したい」と話した。
馬場さんは、「皆さんが歓迎してくれてとてもうれしい。せっかくできたご縁を大事に、次は今年の9月か10月に来たい」と話し、訪問の継続を誓った。