21回目 青空とともに 大型客船「飛鳥Ⅱ」 4年ぶり歓迎セレモニーも
令和5年6月30日付 1面

郵船クルーズ㈱(本社・神奈川県横浜市)所有の大型クルーズ客船「飛鳥Ⅱ」(小久江尚船長、5万142㌧)が29日、大船渡港に入った。梅雨のぐずついた天気が続く中、接岸時には青空が広がり、21回目の入港を歓迎。野々田埠頭では、4年ぶりにセレモニーが開かれたほか、地域住民らが間近で白い船体をじっくりと見上げた。
午前7時前に湾内に入った飛鳥Ⅱは、養殖棚や緑に覆われた島々の間を滑るように航行。岸壁では、遠藤和子踊り教室や国際ソロプチミスト岩手リアス、さいとう製菓㈱、食の匠グループ、大船渡商工会議所女性会、椿の里・大船渡ガイドの会、大船渡・海を愛する会の関係者ら計約60人が並び、昨年から歓迎の舞として定着した『御祝い』を披露した。
歓迎セレモニーでは、大船渡市の今野勝則商工港湾部長が、渕上清市長のメッセージを紹介。大船渡つばき娘による記念品贈呈に続き、小久江船長は「これまでと同じように、乗組員やお客さんも、市民の皆さんとの交流を楽しみたい」と述べた。
岸壁には乗船客が姿を見せ、物産品が並ぶテントの下で足を止めた。神奈川県横浜市の伊藤寿和子さん(79)は「大船渡は何度か乗船で来ているが、いちばんの思い出は綾里大権現の歓迎。小さい港の割には、歓迎が充実している印象がある。今回は三陸鉄道の『お座敷列車』への乗車が楽しみ」と話していた。
乗船客向けのツアーでは、三陸鉄道乗車に加え、平泉方面のルートも用意。市内水産加工事業所の見学やサンマの塩焼き、ホヤの殻むき体験に加え、陸上展示されている気仙丸の見学も受け付けた。
コロナ下は、地域住民の岸壁入場には制限があったが、今回は設けられず、早朝から続々と来場。大型客船が好きという陸前高田市立横田小の小泉雄大さん(1年)は「久しぶりに見た。船首のところがかっこいい」と話し、瞳を輝かせた。
飛鳥Ⅱは全長241㍍、全幅29・6㍍。客室数436室、乗客数は872人で、食事サービスや船内設備、エンターテインメントも充実し、日本船籍最大の客船として知られる。
大船渡来港は、横浜港を発着とする12泊13日の「初夏の日本一周クルーズ」の一環で、乗客は約220人。19日に同港を出発し、大船渡港が最終寄港地となった。入港は今年4月25日以来で、通算21回目となった。