「サヨナラ議会」が閉会 6月定例会最終本会議 一般会計補正予算など可決(別写真あり)
令和5年6月30日付 1面

陸前高田市議会6月定例会は29日、最終本会議が開かれ、予算等特別委(中野貴徳委員長、議長を除く全議員で構成)に審査が付託された議案8件と同日追加提案された発議2件を原案通り可決し、閉会した。任期最後となる定例会を終え、定数が現行の18から16に削減されて行われる市議選(8月27日告示、9月3日投開票)に向け、出馬を予定する現職は選挙モードに切り替え、準備を加速させていく。(高橋 信)
可決されたのは条例5件、補正予算3件、発議2件。本年度一般会計補正予算は、歳入歳出に1億1588万円を加え、総額を160億6832万円とする。
このうち、新型コロナウイルス禍や物価高の関連対策は、12事業計7035万円。主な事業は▽中小企業者等事業継続推進補助金2400万円▽漁業経営体事業継続支援金1800万円▽農業経営体事業継続支援金700万円▽運輸・交通業燃油価格高騰対策事業費補助金367万円——などとなっている。
中小企業者等事業継続推進補助金は、県が手掛ける支援金支給制度と協調し、中小企業などを支援するもの。県はエネルギー類の価格高騰を受けている法人等に15万円、個人事業者に7万5000円の支援金を配っており、市は同支援金の受給者に同額を上乗せ補助する。
国保税条例の一部改正、国保税特別会計補正予算は、物価高の影響を踏まえ、本年度に限り国保税均等割額を減額するもの。介護保険分(40~64歳の人のみ)を含めると、原則1万3000円を減額し、税額を3万8500円とする。対象者は約2800世帯計約4300人で、減ずる総額は約5000万円を見込む。
発議は▽市議会委員会条例の一部改正▽貝毒の発生における原因究明と対策にかかる意見書の提出——。
市議会委員会条例の改正は、議員定数の2削減に伴い、総務、教育民生、産業建設の3常任委の定数を変更する内容。現行は3常任委いずれも定数6だが、「5または6」に変える。次期の任期から適用する。
意見書は、近年の海洋環境の変化などを背景に発生する貝毒の原因究明と抜本的な対策を早急に講じるよう、国の関係機関に求めるため提出する。提出先は衆参両議院議長や内閣総理大臣などとしている。

議場でスピーチしたインスコアさん
友好関係強化へ議場でスピーチ
クレセントシティ訪問団
米カリフォルニア州クレセントシティ市の前市長、ブレーク・インスコアさん(61)とデルノーテ郡議会議員、クリス・ハワードさん(52)は、陸前高田市議会定例会閉会後の29日、議場でスピーチを行った。東日本大震災で流された県立高田高校の実習船「かもめ」がクレセントシティ市に漂着したのをきっかけに、姉妹都市となっている両市。2人はおよそ8000㌔離れ、海を越えて築かれた友好関係を次世代につなげようと、今後の交流への思いを述べた。
市議会は25日から滞在しているクレセントシティ市の訪問団を歓迎しようと代表者によるスピーチを企画。福田利喜議長は「市議会としてもクレセントシティとの縁を大切に育んでいきたい」とあいさつした。
ハワードさんは自身の父親などが日米外交に携わった足跡に触れ、「私と私の息子が日米の絆をさらに強くしていけると確信している」と、日本語でスピーチした。
インスコアさんは、津波で甚大な被害を受けた経験を持つという両市の共通点やこれまでの交流の歩み、産業分野での連携した取り組みなど映像を交えながら紹介。「漁業でも将来、共同で事業をやっていければいい」と展望した。
約40年前、自身が米海軍横須賀基地に勤めていた時代を回顧。「日本人から親切な対応を受けた体験から、思いやりのある人になりたいと決意した。私の人生を大きく変える出来事だったが、今また陸前高田の皆さんと出会い、私の人生を変えようとしてくれている」と日本との縁を強調した。
そのうえで「次世代のため、将来のために、皆さんとともにこの姉妹都市の関係をさらに強くしていきたい」と誓った。