「モバイル建築」で新施設 おきらい放課後児童クラブ 企業版ふるさと納税寄付生かし

▲ 利用児童らが出席する中で開かれた開所式

大船渡港のコンテナ定期航路などを利用して建築物を輸送

 大船渡市三陸町越喜来の越喜来小学校付近に市が整備したおきらい放課後児童クラブ専用施設開所式は2日、現地で開かれた。東日本大震災の復興支援や今後想定される国難級の災害発生を見据えた応急建築物の社会的備蓄の一環で、㈱一条工務店(本社・東京都、岩田直樹社長)が企業版ふるさと納税寄付を申し出て「モバイル建築」の建物を提供。大船渡港のコンテナ航路も活用し、新たな子ども・子育て施設を整えた。
 開所式には市や同クラブ、㈱一条工務店、同社が参画する一般社団法人日本モバイル建築協会(本部・東京都千代田区、長坂俊成代表理事)の関係者約30人が出席。冒頭、市と一条工務店、同協会による「地方創生並びに地域防災力の向上に関する包括連携協定書」が披露された。
 渕上清市長は「この施設で、子どもたちが一層明るく、元気よく、たくましく成長することを願う」とあいさつ。市議会の三浦隆議長、越喜来活性化協議会の鈴木健悦会長も新施設完成を祝福した。
 一条工務店の野地謙太郎盛岡営業所長は、震災の教訓を踏まえ、応急仮設住宅の供給期間短縮と被災前からの備蓄の必要性に言及。応急仮設住宅として被災地に移設、転用できる特徴にも触れながら「常時利用で地方創生や、モバイル建築の情報発信基地になることも願う」と述べた。
 同クラブの中野圭会長による感謝の言葉に続き、利用する児童6人が発表。これまで過ごしてきた三陸公民館での思い出や感謝に加え、新施設での交流に期待を寄せた。
 越喜来小3年の及川愛莉さんは「トイレや水道が近いのが便利。友達といっぱい遊んで、思い出を作りたい」と話し、笑顔を見せた。
 令和3年7月に開所した同クラブは現在、同校1~5年生の計17人が利用。先月末までは同校から1㌔以上にわたり、徒歩などで三陸公民館に移動し、荒天時やクマ出没などへの不安を抱えていた。さらに、津波浸水区域内に位置するため、同校に近い専用施設設置が望まれていた。
 こうした中、一条工務店から企業版ふるさと納税を活用した建物寄附の申し入れを受けた。昨年12月から同社による建築工事、市による進入路や浄化槽等設備工事を進めてきた。
 40フィートコンテナ5本分で、フィリピンの工場で建築したものをコンテナ航路で大船渡港まで運び、現地で組み立てなどの工事を行った。延床面積は143平方㍍。建築寄付相当額は約4800万円。
 木造平屋建てで、モバイル建築と呼ばれる構造を採用。完成した建築物を解体せずに基礎から分離し、ユニット単位でトラックに積み込み、別の場で容易に移築できる。この施設は、災害発生時には福祉避難所などとしての活用が想定できるという。
 モバイル建築による災害時移築も想定した施設は全国11自治体目で、東北では初という。開所式に出席した日本モバイル建築協会の長坂代表理事は、震災直後から気仙に足を運んでおり「震災で被災した自治体が整備し、協定を結ぶことができたのは画期的。応急仮設住宅整備の時間や質の課題といった震災や教訓が生かされている」と話していた。