来春も入学者募集へ 定員割れ続く住田高 県教委 町や地域の支援状況勘案

▲ 6年度の入学者も募集することが決まった住田高校

 令和4、5年度の入学者数が、募集停止判断要素となる20人を割った県立住田高校について、県教委が6年度の入学者も継続して募集することが分かった。県立高校再編計画では、1学年1学級校について、入学者数が2年連続で20人以下になった場合、原則として翌年度に募集停止することとしているが、同校に対して町がさまざまな支援を展開していることや、地域が一丸となって高校の魅力向上を図っていることから、募集停止を見送った。(清水辰彦)

 

 5日の県議会文教常任委員会において、県教委は大槌高校の普通科改編、前沢高校の学級数減などの案を示したが、住田高校に関する対応は盛り込まれておらず、募集停止が見送られたことが明らかになった。
 委員会の中で、一部議員から同校への対応について質問があり、県教委は「2年連続で20人以下となったが、状況を勘案して6年度の募集を行わないという判断は見送る」との考えを示した。
 令和3年度から7年度を期間とする「新たな県立高等学校再編計画後期計画」では、住田高校を含めた1学年1学級校について、入学者数が2年連続で20人以下になった場合、原則として翌年度に募集停止し、統合を進めるとしている。住田高校の入学者は4年度が19人、5年度が17人で、2年続けて20人を下回った。
 一方では、同計画は地方創生を担う人材育成も掲げている。県教委学校教育室によると、同校に対しては町が多くの支援を展開していること、地域が一丸となって魅力向上に努めていることなどから、募集停止の判断を1年見送ることとした。
 少子化が進行し、気仙内外で小中学校、高校の児童・生徒数は減少の一途をたどっている中、町では同校の魅力向上に向けてさまざまな取り組みを展開している。
 具体的に、通学費や給食費の支援を行っているほか、平成30年に自学自習スペースとして同校研修会館内に「住高ハウス○○」を開設し、自学自習を後押し。町教委では「教育コーディネーター」や「魅力化サポーター」を採用し、同校生徒の活動を支えている。
 さらに、令和2年度には多角的な同校の魅力向上を目指して町や町内各中学校、住田高校の校長ら、PTA、町内団体・企業などを委員とする「魅力化推進会議」を設置し、3年度に「住田高校魅力化構想」を策定。同構想に基づいて、4年度から8年度までの期間で学校、町、町教委、地域が連携して魅力向上と生徒数確保に努めている。
 県教委の判断を受け、住田町の松高正俊教育長は「募集の継続はうれしいが、正念場であることに変わりはない。引き続き高校と連携しながら魅力化を推進し、入学者が増えるような高校を目指して努力していく」と話した。