イシカゲ貝 きょうから出荷 前年比3週間早め 数量76㌧目指す
令和5年7月9日付 1面
陸前高田市の広田湾漁協(砂田光保組合長)は9日、同市の特産「広田湾産イシカゲ貝」の本年度出荷を始める。昨年度よりも約3週間早めのスタートで、数量は過去最多となった昨年度に次ぐ約76㌧を目指す。新型コロナウイルス禍の感染症対策が緩和され、需要増の期待が高まる一方で、貝毒の行方など不安要素もあり、生産者はシーズンを通じた安定出荷への願いを込めながら水揚げ作業に当たっている。(高橋 信)
9日は約3・2㌧の出荷を予定。各浜での水揚げ作業は8日に始まり、成育用のかごから取り出した貝を水洗いし、出荷サイズの大きさに達しているか確認しながら手際よく仕分けた。
同漁協によると成育は順調で、当面は貝毒の検査日の出荷を見送るため、例年より1日少なめの週4日のペースで出荷。10月末ごろまで東京・豊洲市場を中心に送り出す計画となっている。
高級二枚貝として料亭やすし店などで扱われる広田湾産イシカゲ貝。陸前高田市では平成8年に全国で初めて養殖の事業化を実現。東日本大震災の津波で養殖施設が壊滅し、平成26年に出荷を再開した。
広田湾漁協は、市などと連携しながらブランド化を推進。昨年2月には、地域ブランドを知的財産として保護する国の「地理的表示(GI)保護制度」に、広田湾産イシカゲ貝として登録した。
近年の出荷実績は令和元年度約43㌧、2年度約32㌧、3年度約62・5㌧。4年度はまひ性貝毒が基準値を上回り、出荷開始が計画よりも遅れたものの、過去最多となる約84㌧に達した。同漁協は年間100㌧の生産を目指している。
本年度は新型ウイルスの感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられ、外食需要の回復に期待が集まる中、生産者は来月中の開始が有力とされる東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に伴う影響を不安視する。安定的に出荷するためには週1回ある貝毒検査の基準値クリアも必須となる。
同漁協広田湾産イシカゲ貝生産組合の熊谷信弘組合長(67)は「出荷シーズン中に処理水の放出の可能性があると報道で聞き、風評被害などが生じないか正直不安だ。燃油や資材費などあらゆる価格が上昇している。順調に水揚げできるよう祈るばかりだ」と話した。






