私たちの宝物」多彩に発信へ 盛町灯ろう七夕に合わせ 青年会議所ブロック協議会 たらじがねやフォトコンも
令和5年7月21日付 7面

日本青年会議所東北地区岩手ブロック協議会(安倍修司会長)によるイベント「展示で繫ぐ私たちの宝物」は8月6日(日)、大船渡市盛町の佐倉里公園と№3ギャラリーで開催される。大船渡の地域課題に向き合った事業構築を進めてきた中、市外にも広く発信すべき伝統として、同日開幕する「盛町灯ろう七夕まつり」や三陸町越喜来崎浜地区の伝統行事「たらじがね」に注目。さらに、市内の名所などを撮影した写真のコンテストも行う。来場と参加を広く呼びかけている。(佐藤 壮)
同協議会内の「いわてJAYCEEアカデミー委員会」(黒沢健典学長)では毎年、県内の1地域にスポットライトを当て、地域課題の解決に向け、県内13青年会議所の若手メンバーが主体となって事業を構築することで、組織や個人の成長につなげる取り組みを展開。アカデミー塾生として約100人が所属している。
今年は大船渡市の地域課題やその解決策を探っていこうと、5月には市内の高校生やまちづくり関係者らを招いたパネルディスカッションを開催。その後も研修を重ね、具体的な取り組みの形を探ってきた。
大船渡は水産業などが知られる一方、活動を通じて見えてきた課題の一つが「魅力ある伝統、資源の情報発信」。地域住民に身近でも、市外在住者には認知度が低い分野を紹介し、にぎわいや活性化につなげようと準備を進めている。
盛町灯ろう七夕まつりは、盆前に先祖の霊を迎える星祭りとして開催。明治末期には、現在のように七夕山車が練り歩く光景が見られるようになったと伝わる。商店街は竹飾りで色鮮やかに彩られ、各祭組が趣向を凝らして制作した七夕山車9台が運行される。
今年は8月6日と7日(月)に開催し、実行委員会では、コロナ禍前に近いにぎわいを図る方針。これに合わせ、まつり舞台となるさかり中央通り商店街付近にある空間を生かし、地域資源や文化に親しめるイベントを開催する。
商店街に近く、まつり来訪者も立ち寄りやすい佐倉里公園にはスクリーンを用意し、まつりの準備に関する映像上映を予定。携わる人々の熱い思いを伝える。さらに、七夕飾りや「竹あかり」などを配置した「フォトスポット」も設ける。
会場では、たらじがねも紹介。崎浜地区に伝わる小正月の伝統行事で、米俵を身に着けた頑固で怖い「じがね」のお年寄りが、泣き虫や意地悪な子どもたちを戒め歩いたことが由来とされる。今イベントでは、夏場には本来披露されないことを逆手にとった〝特異性〟を生かし、衣装を着ての練り歩きなどを通じて幅広く発信する。
また、同じく商店街通りに近い№3ギャラリーでは、大船渡で撮影された写真を一堂に展示するほか、掲載写真に投票するフォトコンテストを開催する。市民や市内通勤者を対象に、大船渡の風景や生物、食べ物など魅力が伝わる写真を、今月31日(月)まで募集している。
写真サイズや印刷方法は自由で、大船渡町字富沢の米澤屋本店に持参、郵送する。写真の裏面に住所や氏名、電話番号、メールアドレス、撮影場所などを記載する。
運営にあたる大船渡青年会議所副理事長の鎌田俊さん(38)は「市外や県外の人に大船渡の良さを伝えるためには、まず地域住民が大船渡について知る必要があるのではないか。地域に深く根付いている大船渡にしかない文化の魅力を、地元の人の熱い思いとともに伝えていきたい」と話し、来訪に期待を込める。