自らの手で生きがいづくりを 講師謝金など市が助成 市民の自主企画講座を支援(別写真あり)

▲ 運動や芸術活動など、市民自らが企画する講座を市が支援する

 陸前高田市が市民の学ぶ意欲を応援する「自主企画講座」支援事業は、本年度で実施6年目を迎えた。地域住民が自主的に企画する講座に関し、講師謝金などを助成する制度。新型コロナウイルス感染症流行の影響により、市民活動の自粛が相次いだ状況も徐々に落ち着いてきた中、市は生きがいづくりやコロナ禍で停滞したコミュニティーの再形成などに役立ててほしいと、活用を呼びかける。(鈴木英里)


 自主企画講座は、市民が主体となって学習したい内容を考えたうえで、5人以上の受講者を募り、自分たちで会場の確保や配布資料作成などを行い、開設するもの。支援事業は平成30年からスタートし、市は▽講師謝金(30分あたり1000円、1団体の年度上限は2万円)負担▽市内各地のコミセンを会場とする場合の使用料免除▽市広報等による参加者募集▽開講前準備および運営にかかる助言──を行う。
 以前は市が企画する形でのみ市民講座(芸術講座)が実施されていたが、「受講したいが会場まで行く手段がない」「時間帯が合わない」といった声があったこと、受講生が高齢者に偏り、固定されがちなことなどが課題として指摘されていた。
 自主企画の場合、自分たちの住む地域や都合のよい時間帯に、好きな講座を設定できる点などが魅力。開始時の30年には26講座、延べ1262人が利用した。コロナ禍の令和元年、2年は参加人数が落ち込んだが、3年は10講座、延べ752人が、4年は13講座、延べ833人が利用し、実績は少しずつ回復傾向にある。
 本年度は現時点で陶芸、つまみ細工、絵画など10講座を開設。好評につき毎年度の恒例となった張子俵牛(くびふりべーご)制作講座のほか、フレスコボールなど、若い世代の参加者が多い講座も設けられている。
 このうち、気仙町の今泉地区コミュニティセンターで実施中の「3B体操と脳トレゲームの集い」は、熊谷きえ子さん(69)=米崎町=を講師に招き、参加者が3種類の用具(ボール、ベル、ベルター)を用いた健康体操や、脳を活性化させる軽運動などを7月から毎週行っている。
 体操の合間には、市のプレミアム商品券や、畑の害虫駆除についての情報交換も行うなど、和気あいあい。横田町から参加する女性は「体が縮んでしまわないよう、運動したくて参加している。家で一人いても草取りをするだけ。みんなで集まって体を動かし、元気をもらっている」という。
 同集いは、自主企画講座としては3回目の実施。それまでは毎回参加費500円を徴収し、講師謝金や会場使用料の支払いに充てていた。企画した菊池文子さん(78)=気仙町=は、「自己負担があると『やりましょう』と声もかけづらくなるので、助成はありがたい。『自分の健康は自分で守る』ということで行っている講座だが、コミュニケーションの場にもなっている」と語る。
 担当する市民協働部まちづくり推進課は「生涯学習の場でもあり、地域の魅力の再発見、コミュニティーづくりにもつながる。やってみたいことがある方はご相談を」と呼びかける。
 申し込みには、▽市民が代表者を務め、市内で活動する団体であること▽初心者向けの講座とすること▽非営利で、特定の政党や宗教を支持・宣伝・普及する内容などではないこと▽ほかの助成金等を受けていないこと──などが条件となる。
 本年度の申請期間は11月30日までで、講座は令和6年2月29日までに実施すること。手続きに必要な書類は、まちづくり推進課に用意されているほか、市ホームページからもダウンロード可能。問い合わせは同課コミュニティ係(℡54・2111)まで。