共助へ 自ら住宅地図作り 広田町・泊お楽しみクラブ 独居者や空き家を可視化 災害時の避難支援にも活用

▲ 泊地区独自の住宅地図作りに励む参加者

 独居高齢者宅や空き家を可視化しようと、陸前高田市広田町泊地区の高齢者でつくる「泊お楽しみクラブ」(西條正夫会長)は25日、同町の田端公民館で泊地区の住宅地図作りを行った。高齢化の実態を子どもたちにも肌で感じてもらうため、地元の子ども会と連動して開催。同地区は東日本大震災の津波で甚大な被害を受けており、災害避難時に支援が必要な人への対策を検討する際にも地図を活用し、地区全体の共助の意識醸成につなげる構想だ。(高橋 信)

 同クラブによる地図制作は、4年ぶり3回目。クラブ会員や小学生、泊振興会役員の13人と、市社会福祉協議会、空き家の利活用を推進するNPO法人高田暮舎のスタッフ3人が参加した。
 泊振興会によると、同地区は現在約160世帯が住む。参加者は地区全域の住宅地図の民家上に、家の形の折り紙を貼り付けた。さらに独居高齢者、障害者、子どもと同居などの家族構成や、空き家かどうかを識別できるよう、折り紙の上に赤や青のシールを条件別に貼った。
 広田小の菅野将太さん(6年)は「思ったよりも家の数が多く、1人暮らしの家もたくさんあって驚いた。地元のことを知ることができた」と関心を寄せた。
 泊振興会の吉田明男会長(74)は「クラブ自ら積極的に活動してもらっており、大変素晴らしい。防災・減災などにもつながればいい」と期待を込めた。
 独居世帯や空き家は、高齢化の加速で年々増加している。高田暮舎によると、同法人が把握している市内の空き家は約800軒に上るという。
 今回の地図は泊地区の自主防災組織などとも共有できるよう、田端公民館に掲示する。下図には住宅ごとに世帯主の名前などが記されているが、個人情報保護のため、その上に折り紙を貼って名前が分からないようにした。
 お楽しみクラブ事務局の菅野タエ子さん(64)は「防災マップ作成は個人情報の扱いが壁となるが、今回作った地図であれば共有できる。地元のさまざまな立場の人に見てもらい、支え合いにつなげたい」と呼びかける。