不思議アートの設置始まる 夢海公園付近の防潮堤に 夏まつりまで に17作品展示(別写真あり)

▲ まるでクジラに直接触れているかのよう。撮影の仕方によってさまざまに楽しめる「不思議アート」が防潮堤を飾る

 「大船渡をアートで飾るプロジェクト実行委員会」(会長・三浦勝朗大船渡市リアス総合研究所理事長)は、大船渡市大船渡町内の防潮堤に「不思議アート」の設置を始めた。夏の観光客や帰省者に鑑賞してもらえるよう、8月5日(土)に開催される三陸・大船渡夏まつり市民道中踊りまでには、同町の夢海公園付近の防潮堤に全17作品を貼り付け予定。現在、急ピッチで作業が進められている。
 不思議アートは、平面(2次元)のものを立体的(3次元)に描き表した絵のこと。人間の目の錯覚を利用することで、平面のはずの絵が立体的に浮かび上がったり、見る角度によって印象が変わって見える。
 設置作業は21日からスタート。本紙に「Tohkai Gallery 大船渡ユネスコアート展」としてイラストを掲載する菅原英資さん(赤崎町、大船渡ユネスコ協会会員)による2作品のほか、岩手大学人文社会科学部の田中隆充教授を通じ、同大とタイ、台湾、モンゴルなどで芸術を学ぶ学生らの作品を採用。千石船「気仙丸」が展示されている付近から夢海公園前までの防潮堤(追悼施設が整備されるみなと公園一帯の壁面は除く)に12作品、須崎川水門の南側にも5作品を展示する。
 作品はシートに印刷して貼り付ける形になっており、大きさは最大で幅7・2㍍×高さ3・6㍍、最小で幅2・58㍍×高さ1・8㍍。防潮堤の壁の向こうからクジラや熱帯魚、カモメ、犬といった生き物が飛び出してくるように見えるもの、異空間に迷い込んだように感じられるものなどがあり、近隣の事業所や公園に遊びに来る市民からも早速注目を集めている。
 三浦会長(67)は「菅原さんはもちろん、学生たちもそれぞれの国でプロとして通用するアーティストばかりとうかがっており、素晴らしいクオリティー。皆さんが楽しんで写真撮影するような光景が、この防潮堤のラインいっぱいに広がっていってほしい」と期待する。
 実行委は同商工会議所、市観光物産協会、県建設業協会大船渡支部、まちづくり会社、各種国際奉仕団体などの代表者らで構成され、昨年12月に設立。「訪れた人たちが市街地を回遊できるような仕組みをつくりたい」と、今後は防潮堤のみならず、近隣の商店街等にも作品を配置する構想を持つ。
 今回の展示は来年1月までの約半年間の予定。三浦会長は「その後もアート設置は継続していきたい。今回は試験的なところもあり、展示中の反響などを踏まえて次は何か作品テーマを設けることも考えている。他の団体の活動とも連携・協力を図りながら、多くの人にとって意味のある形にしていければ」と意気込んでいる。