再エネ普及などに期待 住田、遠野境の風力発電所 現地で竣工式

▲ 「遠野住田ウインドファーム」の竣工を記念してテープカットする関係者

 再生可能エネルギー事業を手掛ける㈱グリーンパワーインベストメント(本社・東京都、坂木満社長、以下GPI)が住田と遠野の両市町境に整備した大規模風力発電所「住田遠野ウインドファーム」の竣工式が26日、遠野市側の現地で行われた。27基の風車による総出力は11万3400㌔㍗で県内最大規模。出席した関係者が、再生可能エネルギーの普及や脱炭素社会への一助となるよう期待を込めた。(清水辰彦)

 

 竣工式には、同社の坂木社長や社員、住田町の神田謙一町長、大船渡市の渕上清市長、遠野市の多田一彦市長、地元選出県議会議員、行政、両市町住民、施工業者、関係企業などから合わせて約100人が出席。神事を執り行い、安全操業を祈願した。
 このあと記念のテープカットが行われ、引き続き開かれた直会では出席者が完成・操業を喜ぶとともに、再生エネルギー普及や地域振興に期待した。
 GPIは全国各地で発電事業を展開しており、「住田遠野ウインドファーム」は、同社にとって4カ所目の風力発電所として、遠野市小友町周辺地区と住田町下有住火の土周辺地区にまたがる山の尾根上の旧牧場跡地約29㌶(一部国有林含む)に建設。
 令和2年度に着工し、同年度は作業道設置を中心に実施。3年度から風車の基礎部分の工事を進め、4年度末に風車建設が本格化した。
 同ファームは出力4200㌔㍗の風車を住田側に10基、遠野側に17基設置。タワーは高さ114㍍が23基、94㍍が4基となっており、大船渡港から荷揚げされた。
 全体の出力規模は11万3400㌔㍗で、県内最大規模。一般家庭の約8万4000世帯分の電力供給に相当し、年間約10万㌧の二酸化炭素削減効果が見込まれる。運営はGPIの特別目的会社・合同会社グリーンパワー住田遠野が担う。
 商業運転は今年5月11日に開始し、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づき、20年間にわたって東北電力ネットワーク㈱に売電する計画。発電した電力は、花巻市にある東北電力花巻変電所を経て東北電力へと全量供給される。
 坂木社長は「地域の支援と協力があって完成を迎えられた。遠野市や住田町と一緒になって、どのように地域振興に役立てられるか考えていきたい」と、神田町長は「脱炭素の時代にマッチしたものが地域にできてありがたい。気仙全体をまかなう以上の発電量で、教育での活用など地域への貢献含めて、地域の財産という位置づけで事業を見守りたい」と話していた。