防災交流で視野広げる 楢葉町(福島)と広田の小学生(別写真あり)
令和5年7月28日付 6面

福島県の楢葉町地域学校協働センター(猿渡智衛センター長)による「岩手×福島防災交流特別プログラム」は27日、陸前高田市広田町で行われた。東日本大震災の福島第一原発事故で平成27年まで避難指示区域となった楢葉町の楢葉小学校(烏中雪野校長、児童134人)と、大津波被害を受けた広田町の広田小学校(千葉憲一校長、児童90人)の児童が交流。ウオーキングや野外炊飯を通じて触れ合いを楽しみながら、互いに防災について視野を広げた。
楢葉町は、23年の原発事故の影響で避難指示区域に指定され、当時の楢葉北、楢葉南両小学校は町外の仮設校舎に移った。避難指示が解除されたあと、両小学校は29年から同町で授業を再開し、昨年統合して現在の楢葉小となった。
災害に強い町づくりを目指す楢葉町では、将来を担う子どもたちの防災教育に力を入れており、楢葉小校舎内にある地域学校協働センターもこれに呼応。震災後、文部科学省に所属し東北の復興関係業務に携わった猿渡センター長が、当時本県教委職員だった千葉校長と仕事でつながっていた縁で、今回の防災プログラムが実現した。
両小学校からは4~6年生の希望者が参加。楢葉小は19人、広田小は34人が臨んだ。
広田町の県立野外活動センターでは、顔合わせで10班に分かれた子どもたちがそれぞれ自己紹介。猿渡センター長や千葉校長考案のゲームで遊びながら心を通わせた。
その後、同町中沢地区に移動し、中沢浜貝塚歴史防災公園や津波記念碑などを通るルートを全員でウオーキング。ポイントごとに千葉校長が防災に関わる解説を行い、児童らは津波到達地点の看板や、大津波で住宅が流された跡地などに目を向けた。
再び野外活動センターに戻り、野外炊飯でカレーを作った子どもたち。新しい友達同士で協力し、一期一会の会話を楽しんだ。
馬上昊太さん(楢葉小6年)は「町の中で津波の傷跡を見つけたり、高いところまで津波が来たことなどを知り、震災のときの大変さが伝わってきた。広田小の人たちに明るく接してもらえたのがうれしかった」と語った。
熊谷美玖さん(広田小5年)は「いつも見ている場所も、別の地域の人と一緒だと見え方が変わってくると感じた。せっかくできた友達との関係をこれからも大切にしたい」と話していた。