60年の民謡愛に光 鈴木定義さん 県保存会から特別功労賞 普及・発展への尽力たたえ

▲ 県民謡保存会の特別功労者表彰を喜ぶ鈴木さん

 大船渡市赤崎町字清水の鈴木定義さん(81)が、県民謡保存会(千葉榮人会長)の特別功労賞を受賞した。大工として働く傍ら民謡に親しみ、その普及と発展にも尽くしてきた功績が認められた。
 表彰は、7月23日に矢巾町文化会館・田園ホールで開かれた同保存会主催の第33回年齢別民謡大会・第28回県少年少女民謡大会・第64回支部対抗舞踊大会の席上行われた。
 「長年にわたり、伝統芸能としての民謡の普及と後進の指導育成に努め、さらには保存会役員として組織強化に尽くした」として記念の盾を受け取った。鈴木さんのほか、同保存会石鳥谷支部長などを歴任した川村茂さんも受賞した。
 大工として建築に携わってきた鈴木さん。民謡を始めるきっかけとなったのは上棟式での祝い歌。「歌う機会が多いので、一曲でも習っておこう」と、二十歳のころから触れてきた。東京で出稼ぎしていた際には教室に通って大会にも出場。トロフィーをもらったことで「やみつきになっていった」という。『南部牛追唄』や『南部木挽唄』といった郷土の歌に加え、『江差追分』『黒田節』などを得意とする。
 自ら歌うにとどまらず、普及や裾野の広がりも目指して汗を流し続けている。昭和41年に県民謡保存会大船渡支部に入会。平成元年~18年まで5代目会長を務め、市内各地で民謡教室を指導してきた。同19年から昨年まで県民謡保存会副会長を務め、今年、同保存会相談役に就いた。
 地元の福祉向上に寄与しようと平成22年に始まった「踊りと唄の新春チャリティーショー」では実行委員長も務めるなど、幅広い活動を繰り広げている。
 今回の受賞については、「民謡を始めて60年。ありがたい限りだ」と喜ぶ。「特に若い人で民謡をやってみようということはずいぶん少ないが、いくらかでも『良さ』を伝えていきたい」と話している。 (千葉雅弘)