2023県知事選/千葉氏と達増氏の対決濃厚 告示まで2週間 「刷新か、継続か」の選択に
令和5年8月3日付 1面

任期満了に伴う知事選は、17日(木)の告示まで残り2週間となった。現時点で出馬を予定しているのは、表明順に前県議の新人・千葉絢子氏(45)=盛岡市=と、4期目の現職・達増拓也氏(59)=同=の2人で、令和元年の前回選に続き、新人と現職による一騎打ちの可能性が濃厚となっている。「県政の刷新か、継続か」を選択する選挙は、事実上の与野党対決にもなっており、支持拡大に向けた両陣営の動きが活発化している。写真の並びは右から表明順。(三浦佳恵)
千葉氏は昨年12月、県議を2期目で辞して出馬を表明。無所属で臨むが、自民党県連と公明党県本部、県議会会派の「いわて県民クラブ」が全面支援する。今年2月には、千葉氏が代表を務める超党派の政治団体「新しい岩手をつくる会」を設立した。
今年5月には、知事選・県議選の共通公約として掲げた同会との共通政策「令和いわて大県構想」を発表。▽結婚や出産、育児などの費用に対する経済支援▽1人当たり県民所得を全国比に対して過去最高水準となるよう引き上げる▽農林水産業や観光振興、中小企業への支援強化──などを盛り込み、国道107号など気仙に関連する道路網の整備にも意欲を見せる。
立候補表明後は、同会代表として県内各地を精力的に回り、本番さながらの前哨戦を展開する。
気仙では、鈴木俊一財務相(衆院岩手2区)の地区後援会(鎌田和昭会長)や自民党各支部などの支援を受けて地域回り、街頭活動を行い、先月30日には大船渡市内で気仙地区の総決起集会も開いた。
県議選への立候補を表明している3期目の現職・佐々木茂光氏(65)=陸前高田市気仙町、新人の畠山恵美子氏(52)=同市横田町=とも連動。女性初のリーダーによる「県政の刷新」を掲げ、元アナウンサーとしての知名度も生かしながら支持の拡大を図っている。
一方の達増氏は、今年2月に5選への立候補を表明。無所属で臨み、前回選は〝統一候補〟として推薦を受けた立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党とは協力体制にとどめ、「県民党」として戦う考え。政治団体「希望郷いわてを実現する会」と連動する。
先月発表した選挙公約「希望郷いわて、その先へ。マニフェストプラス39」は、本年度から展開する「いわて県民計画・第2期アクションプラン」の追加政策に位置付ける。▽全国トップクラスの子育て支援策拡充▽企業の採用や賃上げ、生産性向上に向けた設備整備への支援拡充▽高収益な農林水産業の確立──などを掲げ、気仙と内陸を結ぶ国道107号などの整備にも言及している。
出馬表明後は公務を優先しつつも、その合間を縫って協力政党や団体の会合に出席し、住民との対話も進める。気仙では、後援会気仙支部(支部長・林﨑幸正住田町議)をはじめ、党派や組織を超えた有志による「支援する会」(菅野吉郎代表幹事)などが支える。
また、前回選と同様に県議選への出馬を予定する1期目の現職・千葉盛氏(40)=大船渡市猪川町=とも連動。歴代知事として在任日数最長となった4期16年の実績をアピールし、新たな5期目への挑戦と「県政の継続」を訴えるとともに、新たな支持層の掘り起こしにも力を入れている。
県選挙管理委員会が先月行った知事選の立候補届出等説明会や事前審査には、千葉、達増の両陣営が出席。この2人による戦いが濃厚となっており、実質的な与野党対決の構図となる中、残りの前哨戦で無党派層などにどこまで浸透できるかが注視される。
投票は、県議選、陸前高田市議選と同じ9月3日(日)に行われる。
6月1日現在の有権者数は、大船渡市が2万9235人(男1万3924人、女1万5311人)、陸前高田市が1万5817人(男7631人、女8186人)、住田町が4339人(男2124人、女2215人)。全県は102万2262人(男48万9505人、女53万2757人)。