2023知事選/千葉、達増両氏の一騎打ちへ 告示まで1週間 新人対現職、激しさ増す前哨戦

 任期満了に伴う知事選は、17日(木)の告示まで1週間に迫った。現時点で出馬を予定しているのは、表明順に前県議の新人・千葉絢子氏(45)=盛岡市=と、4期目の現職・達増拓也氏(59)=同=の2人で、令和元年の前回選と同様、新人と現職による一騎打ちの可能性が高くなっている。立候補表明後、各陣営が精力的に繰り広げてきた前哨戦は終盤を迎え、支持拡大に向けた動きが激しさを増している。写真の並びは右から表明順。(三浦佳恵)

 

 千葉氏は昨年12月に県議を2期目で辞職し、「県民が全員で参加する地域づくりの実現を」と立候補を表明。無所属で臨むが、自民党県連と公明党県本部、県議時代の所属会派「いわて県民クラブ」が全面支援する。
 今年2月、超党派の政治団体「新しい岩手をつくる会」が設立され、千葉氏は代表に就任した。
 同会は5月、知事選と同日選となる県議選との共通公約として「令和いわて大県構想」を発表。▽結婚や出産、育児など子育て関連消費に対する経済支援▽1人当たり県民所得を全国比に対して過去最高水準となるよう引き上げる──などに取り組む考えを示す。
 出馬表明後は、同会代表として会に名を連ねる国会議員や県議選立候補予定者らと県内各地を遊説し、本番さながらの前哨戦を展開。県内回りは先月、4周目に入った。街頭活動や住民との対話などを通じ、初の女性リーダーによる新たな県政へのチャレンジを訴え、幅広い層への浸透に努めている。
 気仙では、鈴木俊一財務相(衆院岩手2区)の地区後援会(鎌田和昭会長)や自民党各支部などが支援。先月末には、大船渡市内で気仙地区の総決起集会を開き、さらなる支持拡大を呼びかけた。
 県議選への立候補を表明している3期目の現職・佐々木茂光氏(65)=陸前高田市気仙町、新人の畠山恵美子氏(52)=同市横田町=とも連動。気仙入りのたびに活動を共にし、両氏の支持者らにも訴えを広げている。
 一方の達増氏は今年2月、「県民が困難を乗り越え、希望をかなえられる環境の整備を」と、5選への出馬を表明。無所属で臨み、〝オール岩手〟の「県民党」として戦う考えだ。
 前回選で〝統一候補〟として推薦を受けた立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党と協力体制を構築。政治団体「希望郷いわてを実現する会」と連動する。
 7月に発表した公約「希望郷いわて、その先へ。マニフェストプラス39」は、本年度始まった「いわて県民計画・第2期アクションプラン」の追加政策として設定。▽全国トップクラスの子育て支援策拡充▽三陸振興を総合的にプロデュースする「まちづくり会社」の設立──などを掲げる。
 前哨戦では、公務を優先して県内各地へ赴き、4期16年の実績をアピール。その合間には、各所で住民との対話なども進め、後援会連合会(森越康雄会長)や関係機関の集会では、支持基盤の強化とさらなる拡大を呼びかけた。歴代知事が挑んだことのない5期目の県政継続に向け、新たな支持層の掘り起こしにも力を注ぐ。
 気仙では、後援会気仙支部(支部長・林﨑幸正住田町議)、党派や組織を超えた有志で構成する「支援する会」(菅野吉郎代表幹事)などが支持する。
 また、県議選への出馬を予定する1期目の現職・千葉盛氏(40)=大船渡市猪川町=とも連動。5日に開かれた同氏の事務所開きには、達増氏がメッセージを送り、相互の連携をアピールした。
 これまでの前哨戦では、千葉氏、達増氏それぞれが自身の公約を有権者らに示し、支持を訴えてきた。
 双方の公約は、岩手が抱える最大の課題である人口減少問題に対応して設定。それぞれの独自性を打ち出している部分もある一方、結婚・子育て支援、教育、医療、中小企業や農林水産業の振興、社会基盤の整備など、類似する点も多い。
 このように政策に大きな違いが見受けられない中で、残りの前哨戦では自らの公約と、その実現の確実性をしっかりと有権者に届けられるかも一つの鍵となりそうだ。
 投票は、県議選、陸前高田市議選と同じ9月3日(日)に行われる。
 6月1日現在の有権者数は、大船渡市が2万9235人(男1万3924人、女1万5311人)、陸前高田市が1万5817人(男7631人、女8186人)、住田町が4339人(男2124人、女2215人)。全県は102万2262人(男48万9505人、女53万2757人)。