〝新鮮力〟で継承の糸 太く 小学生や他地域の若者加わる 7年ぶりの盆回向 稽古に汗 綾里の白浜剣舞保存会(別写真あり)
令和5年8月11日付 7面


小学生らも新たに加わって伝承の糸をつなぐ
大船渡市三陸町綾里の白浜剣舞保存会(田中栄一郎会長)は、14日(月)に盆の回向を行う。会員数の減少が進む中で地域内外に参加を呼びかけたところ、小学生や他地域の若者が応えて7年ぶりの実施がかなったもの。〝新鮮力〟が加わって連夜繰り広げられている稽古は熱を帯びている。(千葉雅弘)
激しい動きが特徴で、主に盆の回向で踊られてきた白浜剣舞。三陸町史などによると、宝暦年間(1751~1764)、「肩怒剣舞」が伝わる日頃市の板用から出稼ぎに来た人に習ったのが始まりとされるが、明治29(1896)年の大津波で壊滅的な被害を受け、記録は残っていない。
昭和8(1933)年の大津波、さらには戦争の影響で中断も余儀なくされたが、同48(1973)年に保存会を結成して再興。途絶えそうになる時期もありながら活動は続き、平成12(2000)年には市指定無形民俗文化財指定を受けた。
近年は地元の青壮年層が中心となって活動してきたが、会員は減少の一途にあった。継承への危機感を抱いた保存会では、昨年は郷土芸能発表会など地元行事に積極参加し、今年は会員募集のポスターを作製して綾里小学校や地元の商店へ配布するなど、アピールを強めてきた。
こうした取り組みも通じて、地元の子どもたちや他地域の若者など8人の「新人」が加入。会員は約30人を数えるに至り、盆の回向を7年ぶりに行うことを決めた。14日に初盆の家など20軒ほどを回り、「一本引き」「タカダチ」「デイツク」「扇踊り」を舞う。
稽古は先月24日から活動拠点の漁村センターで始まり、平日の連夜に小学生から50代までの踊り手と太鼓のメンバーによって行われている。今月9日は約20人が参加。威勢の良いかけ声も響かせながら激しい舞を繰り広げ、蒸し暑さを吹き飛ばすほどの熱気にあふれた。
最年少の村上依鈴さん(綾里小1年)は、「剣舞はかっこいい。まだ刀は持てないけど、いつか持って踊りたい」と笑顔を見せた。姉の小夜乃さん(同5年)は「本番では練習したことを出しきって頑張りたい」と張り切っていた。
田中会長(60)は「少人数で守ってきたが、子どもたちをはじめとして、新人が加わってくれた。切磋琢磨しながら練習する姿を頼もしく思う」と目を細めていた。