心温まる対面商売 盛町の木町市場 恒例の「盆市」にぎわう(別写真あり)
令和5年8月11日付 1面

▲ 供物用の切り花などが並んだ盆市
盆の入りを前にした10日、大船渡市盛町の木町市場で毎年恒例の「盆市(ぼんまぢ)」が開かれた。地域住民らが供物用の切り花や手作りの菓子、漬物などを買い求め、心温まる対面販売の交流が広がった。
創業110年を超える歴史を持つ木町市場。毎月5と0がつく日には、「市日」として朝市を開き、市内外から業者が集まる。
特に8月10日に開かれる市は盆市として親しまれ、仏前や墓に供える切り花をはじめ、旬の野菜や果物、干物などを取り扱う店が並ぶ。お盆に必要なものがそろうとあって、早朝から多くの住民でにぎわう。
今年は、約100㍍の通りに20を超える店が並んだ。墓参り用や仏壇用などの切り花が並んだ出店では、購入するだけでなく、日持ちするための手入れ方法を聞く買い物客の姿も見られた。
ナスやキュウリなどの野菜を販売した出店者からは、「今年は暑くて大変。朝と夕方にたっぷり水をかけて何とか収穫できた」「年をとってしまったけど、ここに来ることができるだけで幸せ」といった声が聞かれた。この日は曇り空が広がって比較的過ごしやすく、地域住民らも屋外での談笑を楽しんでいた。
運営する㈲盛木町市場の鈴木義博社長(76)は「ひと言で表すならば、高齢化」と厳しさを語る。それでも「物を買うだけでなく会話ができるのが、この市場の良さ。若い人の出店が増えてくれることを切に願う」と、今後を見据える。