〝横軸道〟強まる改良要望 一般国道107号など 期成同盟会が総会 連携拡大目指す
令和5年8月11日付 1面

東日本大震災発生から、きょうで12年5カ月。国が復興へのリーディングプロジェクトと位置付けた〝縦軸〟の三陸沿岸道路が一昨年に全線開通した中、気仙では〝横軸〟となる内陸部との幹線道ネットワークの充実を求める訴えが強まっている。10日には、一般国道107号(大船渡・遠野間)整備促進並びに(仮称)大船渡内陸道路高規格化実現期成同盟会総会が大船渡市内で開かれ、新トンネル整備を含む白石峠区間の早期着工などを求める決議を採択。内陸部との連携を広げ、将来ビジョンを具現化しながら整備機運をより高められるかが、今後の鍵となる。(佐藤 壮)
きょう震災12年5カ月

連携の広がりや要望強化を誓い合った総会
「気仙と内陸部を結ぶ107号は、急カーブや急勾配、峠部分の路面凍結など安全で安心な通行を阻害する要因が多く残されている。物流の安定性や救急医療の救命率向上、地域連携
を図るうえで、この路線の改良整備は極めて重要な課題」。
総会の席上、同盟会長を務める渕上清市長は、冒頭のあいさつで現状を指摘。整備実現に向けたさらなる連携・強化に向けて協力を求めた。
この日は気仙3市町や遠野市、北上市の各行政、産業団体の関係者ら約30人が出席。事務局からは、同市の入会が報告された。
議事では令和4年度事業報告や収支決算、5年度事業計画案と収支予算などをそれぞれ審議。いずれも原案通り承認、決定した。
さらに▽白石峠区間改良整備の早期着工を図る▽重要物流道路および生産拠点と物流拠点のネットワークを中心に、機能強化や補助事業による重点整備を行うこと▽地域に重要な役割を果たす道であることを理解し、必要な予算確保を──などからなる決議文を採択。前年度以上に要望活動を強化しながら〝広域での総意〟を訴える。
一方、出席者からは「組織拡充が必要。北上市に加わってもらったが、盛岡市や花巻市にも入ってもらうよう働きかけを」との声も。渕上会長は「面的な広がりは重要」と同調した。
さらに「高規格化道実現に向けては、起点と終点を決めなければならない。いつ、どう具体的に決めるかが重要になる。産業界とすれば、起点は大船渡港を拠点としてほしい」との意見に対し、渕上会長は「できるだけ早く、しっかりと決めたい」と答えた。
県側は、令和4、5年度の107号(大船渡~宮守間)の整備状況を説明。白石峠区間では測量業務が完了し、本年度は道路環境調査や地質調査の各発注など、設計段階に入る前の業務が進められるという。
107号を巡っては、これまでも気仙3市町と遠野市の関係団体で構成する「物流等の円滑化と活性化を図る道路ネットワーク検討会」で協議を重ね、改良整備の必要性を訴えてきた。近年の情勢を踏まえ、関係自治体や関係機関が相互に連携・協力をとりながら、要望などに〝厚み〟を持たせていこうと昨年、期成同盟会を立ち上げた。
大船渡市と住田町境の白石峠区間での改良整備は、現在の白石トンネル前後にある急勾配・急カーブの解消に向け、ほぼ直線で平たんな新トンネルを設ける内容。一日も早い着手・完成が望まれる。
また、一昨年6月策定の県新広域道路交通計画では、大船渡から釜石自動車道・宮守インターチェンジ付近までの107号に重なる区間が、高規格道路としての役割が期待される構想路線に位置付けられた。高規格道路は、中枢中核都市や定住自立圏などブロック都市圏間を連絡する道路で「求められるサービス速度がおおむね時速60㌔以上」としている。
気仙では107号のほか、内陸部を結ぶ横軸の充実として、一般国道343号における陸前高田市と一関市境での新笹ノ田トンネル整備の早期事業化に加え、同397号では住田町の子飼沢トンネルから栗木トンネルまでの区間改良整備を求める声も根強い。各自治体だけでなく、気仙広域連合なども県に要望を続けている。