10年前の 自分と〝再会〟 米崎小卒業生 タイムカプセル開封 2年越しの念願かなえる(別写真あり)
令和5年8月15日付 7面

陸前高田市立米崎小学校の平成24年度卒業生は13日、米崎町の米崎地区コミュニティセンターで、同校卒業前に母校に残したタイムカプセルを開封した。当初は令和3年の成人式の日に開封する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で見送られていた。卒業生らは、10年前の自分や学校生活の思い出と〝再会〟し、久しぶりに会った旧友たちとの会話も楽しんで明日への活力とした。(阿部仁志)
同校の24年度卒業生は全員で31人。25年の3学期、卒業式を前に、クラスで「タイムカプセルを残したい」という話が持ち上がり、未来への自分に宛てた思い出の品をプラスチックケースに入れて、小学校3階にある教材室に収めた。
2年前の成人式の日に開封する予定だったが、新型ウイルス感染拡大防止のため、式は規模縮小を余儀なくされ、クラスメートで集まる機会も奪われた。今後、社会人として忙しさが増し、さらに集まりにくくなる状況を見越して、児童会執行部役員だった金野竜大さん(23)が中心となり、今回の「開封の儀」を企画した。
この日は卒業生14人が同センターに集合。県内外に散り散りとなっていた旧友らが再会を果たし、互いに明るい表情を広げた。
進行役を務めた金野さんは、大きく「㊙」と書かれた紙が貼られているケースのふたを開け、それぞれの持ち主の名前を確認しながら思い出の品を一つ一つ公開。その後、卒業生らがアルバムも広げながら自由に当時のことを語らった。
タイムカプセルに入っていたのは、同時流行していたアニメやゲームのフィギュア、アイドルの写真、写真シール、野球のボール、テストの答案用紙、自分や友達に宛てた手紙──などさまざま。当時の担任教諭が入れたという、学年ごとの学校や地域行事の記念写真、クラスの集合写真なども収められていた。
思い出の品を見た卒業生らは、「懐かしい」「こんなこともあった」と感慨に浸った様子。物品を通して忘れかけていた日々を思い出し、10年半前にタイムスリップしたかのように、屈託のない笑顔を広げた。
卒業生のほとんどは、25年に米崎、小友、広田各中学校を統合し、開校した高田東中の第1期生にあたり、現在の新校舎が完成する前まで使われていた旧米崎中校舎で学校生活を送った世代。東日本大震災後の復興途上のまちで生活を送り、共に苦難を乗り越えながら固い絆を結んできた。
2年前にかなえられなかった同窓会が実現したともいえる今回の集会。その後は歓談の場も設けられ、卒業生らがかつての友とのかけがえのないひとときを過ごした。
現在、東京都で働いている金野さんは「顔つきが変わっていて一瞬誰だか分からないという人もいれば、小学校のころから変わらないという人もいた。あの頃の小学校にいた人でなければ分からない話題などで会話ができ、自分自身も楽しかった。どこかでもう一度、今回いなかった人とも会える同窓会の場をつくりたい」と話していた。